2007年8月24日金曜日

会社はチームか個人か

昨日紹介したメーカの方とのお話の続き.

このブログでも何度も話題にしているが,
会社の現場では個人で働くということはほとんどない.
だいたいが課やプロジェクトに所属し,
そのグループのメンバーと協力して仕事を行う.
だからこそ,コミュニケーション能力が重要視されているのだ,
という話をしてきた.

だが,現代の若者はグループで働くということに慣れていない.
確かに,大学までの人生では部活動でサッカーや野球などをしない限り,
個々人で生きてきても問題がないことも多い.

そうした人たちは,自分の働いた能力に見合った分の報酬がなければ,
たいへんな不満を持ちやすい.
もちろん,それは当然のことである.
しかし,実際の会社において,
個々人の働きを正しく評価できることは可能なのだろうか?
グループで仕事を進めるという条件のもとでは,
個人の業績の評価は非常に難しいのではないか.

結局個人の努力はグループのため,会社のためなのである.
それが日本の社会のシステムなのである.
私はこれが悪いとはそれほど思っていない.

もしも正確に個人の業績を評価しようとしたら,
仕事の内容を完全分業化することが必要だ.
それは,もう単純作業か,
あるいはデザイナー,俳優などの個人の仕事しかできないだろう.

そのメーカの方は,サッカーと同じだとおっしゃっていた.
すなわち,個人の能力も大切だが,チームプレーも大切なのである.
ラグビーではないが,時にはOne for Allの考え方も必要なのである.

日本の現場においては,チーム力ということが重視されてきた.
確かに悪い面もあるが,これまでは比較的うまくいって
日本の技術力は支えられてきたのではないかと思う.
これが欧米や中国のように個人主義にシフトしていったとして,
日本はこれまでのように発展し続けることはできるだろうか.
日本のチーム力というのは,世界でもいまでも注目されている
一つの大きな特長なのだと思っている.

もちろん,悪い面も多々あることもわかっている.
単純な年功序列がいいとは私も思っていない.
しかし,完全な能力主義となり,
だれもが自分の仕事の責任しかとらない,という事態になったら,
日本の会社は成り立たなくなるのではないかと思う.
だれもがちょっと能力が上がれば,よりよい待遇を求め,
それが見田さんれなければ,他社へ移ってしまう.
そんな状況で人を育てるということが可能だろうか.
チーム力は発揮できるだろうか.

若い人が会社を辞める原因のひとつに,
自分の能力が評価されないという不満があるという.
確かに搾取されている若者も多い.
そうした若者は転職が可能であればそうすればよいと思う.
しかし,日本の現場ではチーム力も重視される.
そこでは,個人プレーだけが評価されるわけではない.
チームのために働くという覚悟も必要である.
そのことは忘れないようにしたい.

#何度も繰り返すが,グループでの仕事が嫌な人は,
大学教員になるというのもひとつの手である.
その代り,学生相手に苦労することになるけれども(笑).

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