2007年11月28日水曜日

学生時代に勉強すると生まれる良い結果

昨日,あるメーカの方々とお話しさせていただく機会があった.
そのメーカには,本年度卒業生がひとり就職している.
自然,その卒業生の話題になった.

その卒業生の働きぶりのお話をハラハラしながら
聞いていたのだけれど,ひとつなるほどと思うことがあった.

彼はパワーエレクトロニクス(パワエレ)を勉強していて,
パワエレに関連したメーカに入った.
いくら大学で研究していたからといっても,
企業の第一線では,即戦力というわけにはいかない.
現場は常に最先端をいっているのだ.
また,研究と違って一テーマだけに集中すればよいのではなく,
総合的な知識が要求される.
当然,「基礎学力の不足」などの不満がでるのかと思っていた.

しかし,意外にも彼は(彼に失礼だけど)好評であった.
それは,「どこまでを習っていて,どこからが習っていないか」を
はっきりと表明してくれるから,ということらしい.

この話に私はすっかり感心してしまった.
パワエレを勉強してきたからこそ,自分の現在の知識を把握でき,
自分に不足していることをはっきりと認識できる.
それは非常に重要なことだ.

それは仕事に対して能力がないと言っているのとは違う.
むしろ自分に自信があるからこそ,
ここまではわかるが,この先は勉強したことがない,
とはっきりと上司に言えるのだ.
それだけでもパワエレを学生時代一生懸命勉強した価値がある.

ぼんやりとしていて,わかっているのか,わかっていないのか,
それが判断できない部下はずいぶんと取扱いに困るのだろう.
学生時代,基礎をやるということはこうした利点もあるのだと,
あらためて認識した.
逆に自分の現時点での実力を推し量るには,
それなりの素養が必要ということだ.

もちろん,その卒業生の彼の評判がよかったのは,
上記の理由だけでなく,どの仕事も一生懸命に努力し,
夜遅くまで自発的に頑張っているからであることも,
忘れずに記しておきたい.

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