2008年8月1日金曜日

擬似海外留学の意義は意外に大きい

本日で大阪大学グローバルCOE
「次世代電子デバイス研究開発拠点」における
AMP(Academic Melting Pot)プログラム
終了した.

AMPプログラムというのは,
海外から20名程度の学生・若手研究者を
招待し,大阪大学の学生と一ヶ月間
一緒に研究,議論などを行いながら
過ごすことによって,
国際交流を図るとともに
英語によるコミュニケーション能力の向上,
研究への動機付けなどを行うものである.

基本的には英語しか用いず,
大阪大学にいながら擬似海外留学を
体験できるようにしようという目的がある.

彼らは最先端の技術のセミナーを受講しながら,
日本企業や原子力発電所,研究所なども
見学してきた.
もちろん,週末は日本観光もしながらである.
そして,その合間にそれなりに
研究等をまとめなければならないのだから,
この1ヶ月間は,彼らは本当に忙しかった
ことだろうと思う.

私たちの研究室からは
2名の日本人学生がプログラムに参加したほか,
タイからの1名の講師と1名の修士2年の学生の
ホストとなった.
プログラムに参加した学生に限らず,
研究室の学生はみな彼らと
コミュニケーションをとっていた.

いうまでもなく,みな英語は得意とは限らないが,
それでも一生懸命,意思が通じるように
努力していた.
そうした学生たちの姿を見ているだけで,
このプログラムが行われた十分意味があったと思う.

また海外からの学生も,
大阪大学の研究のポテンシャルの高さと,
企業等の技術のレベルの高さに
ずいぶん感心していたから,
彼らにも十分収穫があったに違いない.

さて,海外からの学生たちに
このプログラムの印象を尋ねてみると,
多くの人が日本の人たちの親切さを口にする.
そうした話は良く聞くのだけれど,
私は本当にそうだろうかと思う.
私たちが外国にでかけていっても,
多くの現地の人が
みな優しいのではないだろうか.
基本的に,ホストであれば,
ゲストを歓待するのは当然である.

しかし,それでも日本の人々が
特別に優しいのであれば,本当に嬉しい.
彼らのうち,ひとりでも多く,
日本に興味を持ってくれて,
日本に留学,あるいは日本のグループと
共同研究などをしてくれたら,
このAMPプログラムの大きな成果となるだろう.
そしてそうなる手ごたえを
少なからず感じるのである.

今日で,海外からの参加者は
それぞれの国に帰ってしまう.
それはずいぶんと寂しく感じる.
どの国であっても,若者はみな素敵だ.
彼らと議論するのは本当に楽しい.
また次の機会があることを
心より願っているのである.

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