2008年11月10日月曜日

異分野の交流の場としての連合大会

先週末は関西にも冬の寒さが訪れ,
紅葉もぐっと色づくスピードを加速するかと
山の木々に目を凝らす...なんて
そんな余裕のある週末を過ごしたかったけれど,
残念ながら仕事だった.
いや,学会なのでこれを仕事と呼ぶべきか.
とにかく出かける必要があった.

京都工繊大学において開催された
電気関係学会関西支部連合大会に
参加したのである.
朝早くからのセッションもあるので,
兵庫の山奥に住んでいる私は,
朝5:30頃に起きて7:00前には
出かけなければならない.
吐く息もすっかり白い.
朝の寒さが身にしみて,冬の到来を感じる.

「電気関係学会」というのは,
電気学会,電子情報通信学会,照明学会,
映像情報メディア学会,日本音響学会,
電気設備学会の6学会を指す.
これら各学会の関西支部が主催して,
毎年この時期に開催されているのだ.
(学会には,地方地方に支部が設置されている)

伊瀬先生のお話によれば,
第1回目の開催は昭和21年というから,
戦後1年目からの伝統ある大会ということになる.
その時は3学会(電気学会の他は知らない)で,
参加者は300人程度だったのだという.
たぶん,各学会でそれぞれ大会を開いても
集まる人は少数だったろうから,
連合大会という形が取られたのだと思われる.
しかし,それから60年以上が経って,
今回の参加者も900人程度はあったという.
地方大会としては非常に大きなものといっていい.

この異分野が連携して開催されるというところに
面白さがあるはずである.
私などは,通常電気学会くらいしか参加しないのだが,
照明学会などの発表で
「防犯のための照明の色」に関わる研究とか,
「調理空間における光環境の実態」などという
発表タイトルを見ると,ちょっと聴いてみたくなる.
これが大切である.
異なる学会の発表内容のほとんどは
残念ながら聴いても理解できないのだろうが,
意外とその考え方や検証の仕方など,
新しい研究のタネが見つかるかもしれない.
ヤジウマ根性の他に,そんな期待も確かにある.
(単に照明学会は女性研究者が多い,
ということで興味があるわけではありません!)

どの学会も電気に関連した分野とは言え,
他の学会のやっている中身はよくわからない.
まるで同じマンションには住んではいるけれど,
隣に住んでいる人が何をやっているかは不明,
というような状況なのである.
今回の大会は,その隣人の生活をのぞける,
貴重な機会なのだ.

しかし,現在の連合大会は少し分化が進み過ぎていて,
他分野の講演が聴きづらいプログラム構成になっている.
せっかく異分野の専門家が900人も集まっているのに,
もったいないことである.
もっともっと交流を深める会にできないだろうか.

実は,来年この大会は大阪大学で開催されることになっている.
学会のとりまとめ幹事も電気学会である.
そこでは,もっと異分野交流を進めるアイデアも
実現されるとのことである.
ということで私は,
来年のこの大会に,さらに期待をしているのである.
(とはいえ,幹事校としての
その準備の大変さを思うと気が重いのだけれど)

#寒い京都で私は,
すっかり風邪をひいてしまったようである...

0 件のコメント:

コメントを投稿

言葉が世界を単純化することの副作用

 人間がこれだけの文明を持つに至った理由のひとつは「言葉」を用いることであることは間違いないと思う。「言葉」があれば正確なコミュニケーションができるし、それを表す文字があれば知識を記録として残すことも可能である。また言葉を使えば現実世界には存在しない抽象的な概念(たとえば「民主主...