2009年6月9日火曜日

ハイブリッド車は回生しなければ

ハイブリッドカーが売れているらしい.
ついこの前まではホンダのインサイトが,
そして今はトヨタのプリウスがたいへんに
売れているそうである.
プリウスにいたっては,納車まで
半年かかるとか.
そんなに多くの人たちが
エコカーが好きだったとは驚きである.
(エコポイントが効いているのかもしれないけれど)

ハイブリッドカーというのは,もちろん
エンジンだけでなく,電池とモータを積んで,
電気の力で車の走行をアシストするものである.
ホンダとトヨタではその制御方式が違うらしいけれど
(私はいたって車に疎いのでよくわからない...)
どちらも電気を使うことによって燃費が向上するとしている.

しかし,普通に考えれば,通常のガソリン車に比べ
モータと電池の重量の分,燃費が悪くなるはずである.
それが向上するというのはどういうことなのだろうか.

それは,車が減速するときにモータを発電機としてもちいて,
車の持っていた運動エネルギーを電気エネルギーに
変換して電池に蓄えるという機能を持っているからに
他ならない(...と思う).
これを回生動作と呼ぶ.
もしもこの回生動作を行わなければ,
車が減速,あるいは停止する際に,
持っていた運動エネルギーは,ブレーキパッドやタイヤに
よって熱になって捨てられているのである.

自動車事故を考える.
スピードを出していれば,衝突事故を起こした車は
見るも無残にくしゃくしゃにつぶれてしまう.
それは,走行していた時のエネルギーが
そうした車の変形という形で消費されているのだ.
自動車が停止するとき,あれだけのエネルギーを
無駄に熱という形で捨てていることになる.

その無駄を,一旦電気のエネルギーに変えて
電池に蓄え,必要な時に使用するのである.
結構なエネルギーが回生されるのだと気づく.

回生動作は,自動車よりも電車の方が一般的で,
以前は電車もブレーキをかける際には,
走行中の運動エネルギーを,電気に変えて
積んでいた抵抗で消費していた.
つまりは,やはり熱として捨てていたのである.
それが最近は電線に電力として戻している.
これでずいぶんと省エネになるのである.
(回生時モータは発電しているので,
運動エネルギーは減少し,これがブレーキとして
作用する.これを回生ブレーキという)

こうして見ると,モータの回生動作が
省エネにつながる用途というのが見えてくる.
まずは,電気自動車,ハイブリッド自動車,電車.
そして,エレベータなども省エネ効果が高い.
かごを下ろす時には回生動作を行えばよいのだ.
だから最近はクレーン車などにも応用されているのだという.

つまりは,加減速を繰り返す用途では
その省エネ効果が高くなる.
ハイブリッド車も街乗りだから燃費が良くなるのであって,
たぶんアメリカのような高速道路をずっと
アクセルを踏み続けて走るところでは,
その省エネ効果は低くなるどころか燃費は悪化するだろう.

ただ日本の一般的な都市では燃費は向上するのは
間違いない.
こうした省エネ,CO2削減にパワーエレクトロニクスが
大きく役立っているのを見ると,関係者として
とてもうれしくなるのである.

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