2009年8月27日木曜日

天使

「新耳袋」を読んでいて,とても怖かった話.
(いまでも,思い出すだけでぞっとする)

ちゃんとした話は,「新耳袋」を読んでいただくことにして,
簡単に紹介すると,

ある女性がふと空を見上げたら,
天使のように美しい女性が笑顔でふわっと舞い降りてきた.
あまりに幸福そうな笑顔なので,その女性に向かって
手を振ると,向こうも手を振り返してくれた.
ドサッという音が突然して,
足元を見ると女性の死体が.
飛び降り自殺だった.

というお話.
本当に怖い...怖い,怖い.
私は,こうしたシーンをついつい思い浮かべてしまう.
そしてそのイメージの強さに参ってしまう.

大学時代,「文章工学」という講義をとっていて,
その中で実験的な試みとして,
朗読を聞いて,批評文を書くということをやった.
作品は,森鴎外の「高瀬舟」.
兄が弟ののど元に刺さった刃を抜くシーンでは,
その朗読に情景がありありと思い浮かんできて,
とうとう気持ち悪くなって,トイレに駆け込んだ覚えがある.
私はイメージに弱いらしい.

始めに紹介した話でも,
空から舞い降りてくるという天使のような女性の
顔について想像が止まらない.
どのような気持ちだったのか,
実際は,風圧で顔は歪んでいたはずだから,
この天使はなにが見えたものなのか.
そして自殺の是非について.
いろいろと考えていくと本当に怖くなる.

シンプルに想像できる話,それが一番怖い.

2 件のコメント:

  1. 怖い話ですね。イメージ掻き立てるお話です。
    先日、後輩(職場は違いますがつながりはありました)が自ら命をたちました。

    最初は信じられない思いばかりでしたが、その顛末を聞いた夜(=昨夜)は、まさにその状況をつい想像してしまい、怖かったものです。

    ご本人がその時見た情景、どんな気持ちだったか、考えると、本当に恐ろしい・・・。

    悲しいことですし、二度と起こしてはならないことだと思いますが、そういう想像をすると、少なくとも私はそうしないだろうな、と思ってしまうのです。。。

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  2. Asano様,コメント対応遅れました.すみません.

    まずお知り合いの方のご冥福をお祈りしたいと思います.

    自ら命を絶つというところに至るまでにはいろいろなことがあったのだろうと思います.また,自分がいつそのような心境になるか,全くならないなどとは思えません.

    怪談には自ら命を絶たれた方の話が多いですよね.やはり未練が大きいと私たちが想像するからかと思います.
    私もたまに講義の中で日本の自殺の多さについて触れることがあります.非常に思い問題です.
    またいつか,私の考えをブログに書きたいと思います.

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