2009年9月9日水曜日

忍者はどこにいった

三重県津で開催された電気学会
産業応用部門大会の懇親会は,
9月1日火曜日に開催された.

こうして地方で開かれる学会の懇親会では,
その土地ならではの出し物があることが多い.
例えば,徳島で開かれれば阿波踊り,
福井だったら,あわら風の盆など,
実はそれが結構楽しみだったりする.
(これは国際学会でも同様なのだけれど)

今回三重大学のものはなんと忍者ショーだった.
伊賀の国に因んでのものである.
(私はこのとき初めて伊賀市というのが
三重県にあることを知ったのだけれど...)

伊賀流忍法の紹介ということで,
刀法や補縄術,鉄輪,手甲鉤,十手に鎖鎌と
種々の武器を用いた殺陣が披露され,大変面白かった.
(と,どれだけの人がこれらの武器を
判別できていたか,怪しいけれど...
まぁ,私も良くわからない部分もあったけど.
それはショーということも関係していたかも)

女忍者(くのいち)が大活躍ということで,
(これが非常にアニメのような声の女性でびっくり)
会場も盛り上がっていた(かな?).

そこで近くで飲んでいた学生たちにひとつ尋ねてみる.

私:「やっぱり伊賀といえば忍者だよね.
どんな忍者が好き?」

学生:「...」

私:「あれ,伊賀忍者とか知らない?百地三太夫とか...」

学生:「全然わかりません」

私:「(汗) 霧隠才蔵とか,猿飛佐助とか」

学生:「名前くらいは聞いたことがあります.
あっ,服部半蔵なら知っています!」
(ちなみに服部半蔵は忍者の頭領ということだけれど,
忍者ではなく普通の武士だったはずである)

そういえば最近は忍者というのが
全然話題にのぼらないなぁと気付く.
確かに千葉真一の「影の軍団」なんて遠い昔だし,
ショー・コスギの映画なんてのもずいぶん古い.
まして,児雷也なんていっても...
そう,学生たちが一番なじみのある忍者は,アニメのNarutoらしい.
私は全然見たことがないけど.

私は結構忍者が好きである.
忍者の武術は非常に巧妙で面白い.
そして大変実用的のように思える.

手裏剣だって,十字手裏剣なんて使わない.
上遠野流とか根岸流とかでは,
もっぱら棒手裏剣で直打である.
針などを投げて相手の目や手元を狙ったそうである.
(その他手裏剣で有名なのは,
芦原空手の芦原英幸氏であった)

忍者の武術では,身の回りにあるあらゆる道具を使って,
もっとも効果的に相手を倒す術を
とっさに出せなければならない.
柔軟な頭と身体が必要なのである.

忍術といえば,戸隠流の初見良昭氏が有名で,
初見氏の演武をみると,恐ろしくなるほど実戦的である.
(世界から軍隊や警察が習いに来ているとの話も納得できる.
アメリカでは忍術はひとつの武術として認められているようだ)

印を結ぶ術だって,心理学的には非常に合理的なのである.
(強い暗示のトリガと考えられる)
九字を切ったり印を結ぶのは,
別に煙を出してドロンと消えるためではないのである.
(児雷也みたいに,巻物を口にくわえて印を結べば
巨大なカエルが本当に出てきたら,それはそれで凄いけれど)

しかし,日本での忍術の注目度が低くなっているのは大変悲しい.
もっと子供たちに夢を与えるような番組はないものかと思う.
(前述の初見氏は,「ジライヤ」という特撮番組に忍術の先生として
出演されていたのが思い出される)

今年は映画「カムイ外伝」が公開される.
白土三平の「サスケ」とか横山光輝の「伊賀の影丸」とか
そんな忍者ブームがまた来ないものかと思う.
子供たちが忍者の格好をして,
壁伝いにタタタと走っていくような光景が懐かしい.
私もプラスチックのおもちゃの刀を背中に差していたっけ.

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