2010年1月22日金曜日

「Love Letter」を観て,思う

昨日はちょっと忙しくて,帰るのが遅くなった.
帰宅してテレビをつけてみると
(これは昭和生まれの人間の習慣か)
中山美穂と豊川悦司の姿が画面に大きく映しだされた.
すぐに,映画「Love Letter」だとわかる.
たぶん最近,中山美穂主演の映画「サヨナライツカ」が
封切りされる(た?)から,そのキャンペーンの一環なのだろう.

この映画を観たのはいったい何年前になるのだろう.
確か私が博士課程の学生の頃で,
シネスイッチ銀座で観た記憶がある.
男独りで観にいっていて,周りのカップルに
気を使ったような覚えが...(悲)

小樽と神戸で撮影されたこの美しい映画は
岩井俊二監督の第一作目で,確か中山美穂をして,
「この映画に出会うためにこれまでがあった」と
言わしめた佳品である.
そして中山美穂は,この作品でその年の
数々の主演女優賞を獲得したはずである.

懐かしいなぁ.
まずそう思った.
これも映画の魅力である.
映画を見ていた頃の自分に一瞬フラッシュバックする.
(そしてすぐ現実の自分に戻るけど)

しかし,ひと目でこの映画だとわかったというのは,
一体どうしたわけだろう.
いくつかの映画なんて,途中まで観て
なにか先が読めるような気がして,
終り頃にようやく,この映画を以前に観たことを
思い出すくらいだというのに.
この2種類の映画の差はなんなのだろうかと不思議に思う.

この「Love Letter」は,90年代独特の雰囲気が
よく反映されていて,そして中山美穂の少し
わざとらしい演技が大変に印象的であるから,
すぐにわかったのかもしれない.

まぁ,でもこの映画の出演者はみなそれぞれに
美しく余韻をもって印象的だから,
どの場面をみてもわかるのだろうとも思う.
(酒井美紀,柏原崇,篠原勝之,加賀まりこなど
だれもがみな素敵だ)

このように考えると,映画の良さというのは,
どれだけみんなの記憶に残るか,ということで
測ることができるのかもしれない.
「Love Letter」は,そのストーリーは
他愛もない恋愛ものだけど,
このように映画そのものの魅力は
十二分ににあるといえるのではないだろうか.

考えてみるとこうした映画というのは
数えるほどしかないかな.
やっぱり映像芸術というものには,
特別な才能が必要なのだろうと思う.

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