2010年2月10日水曜日

ポニョはワルキューレ?

先日,子どもたちが録画していた
「崖の上のポニョ」を見ていた.

私がちらりと画面を見ると,
青い波なのか,魚なのか,
よくわからないものが街に押し寄せる
シーンが映し出されている.
それらの上を女の子(たぶんポニョ)が
走っているシーンだった.
いや,なかなかに手に汗を握るシーンだ.

しかし,そこで流れている音楽に気づいた.
それは,なんともまぁ,ワーグナーのあの有名曲,
「ワルキューレの騎行」のパロディのような曲なのだ.
たぶん久石譲の手によるものだろうと思うのだけれど,
あまりにパロディ化しているので,驚いた.
久石譲も手を抜いたのかな(笑)と思った.

しかし,ポニョの名前を知ってなるほどと思った.
ポニョの名前は,ブリュンヒルデ.
ワーグナーのあの楽劇「ニュルンベルクの指環」の
ヒロインと同じ名前なのである.

「ニュルンベルクの指環」というのは,
ワーグナーの代表作に位置づけられる
4部から構成されている楽劇(オペラ)で,
上演するのに4日間を要するという大作である.

ブリュンヒルデは第2部から第4部にかけて登場する
主人公のひとりで,ワルキューレと呼ばれる戦の女神の
姉妹の長女という設定である.
ちなみにワルキューレというのは,
戦場の空に天馬に乗って飛び交う女神で,
勇敢に戦って死んだ勇士の魂を天上に導く役目をする.

ワーグナーの楽劇の中では,最高神ヴォータンの
長女であるが,人間の英雄ジークフリートと愛を誓いあい,
彼に裏切られて,彼に復讐し,
そして神々の黄昏(ワルハラ城の炎上)をみるという役となっている.

これがポニョの話となにか関係があるのか?
まぁ,ブリュンヒルデについてはいろいろな話があり,
ここで紹介したのは,あくまでもワーグナーが書いた脚本による
ものなので,他の伝説に基づいていてもおかしくはないのだけれど.

しかし,いずれにしろ,ポニョが疾走するシーンで,
「ワルキューレの騎行」に似た音楽が流れるのは,
製作者の意図であることは間違いない.

しかし,「ワルキューレの騎行」には私はあまり良い印象がない.
それはひとえに,フランシス・F・コッポラの映画
「地獄の黙示録」のせいである.

ベトコン村の焼き討ちのシーン.
朝焼けの中,ヘリコプターの飛行隊が
ナパーム弾を続きざまに村に投下していく.

「朝に嗅ぐナパーム弾の臭いは最高だ」

まさに戦争の狂気の描写.
そこで流れるこの曲は,悲しいくらいに
映像にピッタリとあっていて,
この曲のイメージを私に固定してしまった.

この曲を聞いて私が思い浮かべるのは,
天馬に乗って空を駆け巡る戦乙女の姿ではなく,
ヘリコプターの編隊とガソリンの臭いなのである.

だから,私はこの曲を好んで聴かない.
いまでは1年に1回聴くか,聴かないかである.

昔,UWFというプロレス団体の組長こと藤原喜明という
プロレスラーの入場行進曲がなぜかこの曲だった.
藤原喜明のサブミッションアーツには当時憧れていたけれど,
入場曲が流れても,「地獄の黙示録」が思い出されて,
あまり盛り上がらなかったなぁ.

「ポニョ」の映画をみたら,
この曲の印象が変わるのかもしれない.
いくぶんハッピーな印象に.

今は,やはりこの曲を聴くとなると
少し気分が重くなるのである.

#ちなみに,アニメ「超時空要塞マクロス」に出てくる
変形する戦闘機ヴァルキリーとは,このワルキューレの
英語名であるはずである.
実は,私はマクロスを全く観たことがないのだけれど.

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