2010年5月18日火曜日

Bach,フーガの技法によるCosmos

心のなかにcosmosが欲しくなると,
バッハが聴きたくなる.
彼の純粋・数学的な作品を聴くと
chaos状態の脳内に秩序が
立ち現れてくるようである.

最近,聴く頻度が高い録音が,

J.S. バッハ
「フーガの技法」
ピエール ロラン・エマール (2008)

である.
専門家によれば(そしてエマールのインタビューの
内容などによれば),この作品は非常に
難解なのだそうで,確かにグレン・グールドが残した
オルガン演奏による録音(抜粋)を聴いても,
ちょっとわからないなぁ,というのが感想だった.

それがこの録音を聴いて,
なんと心が通った演奏なのだろうと思った.
それでいて重くない.
(演奏者の思い込みが入った演奏は
バッハには不向きだと思う)
だから私の要求するcosmosは
十分に立ち上がる.
数学的ではあるが音楽の楽しさに溢れている,
そんな演奏である.

エマールという人は,現代音楽の演奏で有名で,
私も以前からぜひ聴いてみたいと思っていた
ピアニストである.
近年は来日もしており(もちろん,私はコンサートには
行けはしていないが),日本でもずいぶんと
人気が高まっているのではないだろうか.

この録音を聴いて,現代音楽のスペシャリストだからといって,
古典がダメだというわけではない
ピアニストだということがわかった.
いや,現代音楽の通暁しているからこそ,
このようなバッハが弾けるというべきか.
よく考えられているのだろうけれど,
それを感じさせない演奏である.
先に紹介したキース・ジャレットのゴルトベルクと同様,
バッハへの尊敬に溢れている.

先日は,夜寝る前に聴いてみた.
静かすぎず,派手すぎず,
深まる夜にぴったりの曲である.
楽譜は難解この上ないそうだけれど,
それを感じさせない名盤なのだと思う.

#グールドのピアノによるこの曲の録音は未聴.
いつか聴きたいものである.

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