2011年1月4日火曜日

時代が違うのだよ,時代が.

本日から出勤.
年始恒例の「交礼会」と呼ばれる
電気系職員が集まって新年の挨拶を交わす
会に参加する.

毎年,交礼会では,名誉教授の方々や
専攻長の挨拶があり,
本日のお話もたいへん面白かった.
(参考になるという意味で)

その中で,専攻長が

「私が電気系に入学した昭和50年頃は,
今思えば一番いい時代で...」

というお話をされていた.
確かにその時代は,「電気」や「通信」という言葉が
夢を持って語られ,理想を抱いて学生たちが
入学してきたのだろうと思う.

それから35年が過ぎ,電気や通信といった
工学分野は良い意味でも悪い意味でも
成熟してしまった...
それとともに,学生のみなさんも電気工学に
夢を見なくなってしまったように思う.
いや,電気工学だけではない,
工学分野全般に,そして科学技術に
夢を抱いていないのではないだろうか.

いつの頃からか電気工学の夢は
本当に小さくなってしまったのだろうか?

私はもちろんそんなことは無いと考える.
今だって,電気工学を通じて,
世界に貢献できる仕事は山のようにある.
いや電気工学こそ,この時代において(工学的に)
世界を変えることができる分野だと信じている.

しかし,今の時代,中高生のみなさんに
それをわかってもらうのは難しいことも
重々承知している.
鉄腕アトムも機動戦士ガンダムも
今,子供たちに科学技術の夢を十分に与えることは
できないだろうことも.

しかし,それでも私たちは
努力していかなければならない.
私たちにできることはまだまだあるはずである.
時代が変わったからといって,
不平不満をいうことは私は大嫌いなのである.

そんなことを考えていたら,
15年くらい前(?)のプロレスの状況を思い出した.
そのとき,プロレスの若手は,プロレスの
不人気を嘆き,行き詰まりを感じていた.
しかし,過去の黄金時代を築き上げた
アントニオ猪木などから,
頑張れ,おまえたちはふがいない,などの
檄は飛び続けていた.
そしてとうとう若手たちの不満は爆発した.

「猪木さんたちのころと今は違う.
あの頃ゴールデンタイムでプロレスが中継されていた.
人気も状況も,時代が変わったんです!」

当然,猪木は大激怒.
時代のせいにするな,と叫んでいた.
実は私もそのTV放送をみて,同じことを思っていた.
時代が悪いといって,何が変わるのだろうか.
時代は変わってしまったのだ.
それはもうとりかえしがつかない.
新しい時代に即した活動をしていかなければ
ならないのだ.

「時代が違うのだよ,時代が」
と私はTVに向かってつぶやいていた(と思う).

以前と同じ気持ちで,昔と同じことをやっていては,
悲惨な結果になることは目に見えている.
私たちは変わらなければならないのだ.
不平不満など言ったってなにも益はない.
与えられた環境に応じて
私たちのマインドを変えていくしかないのだ.
そして,もしも可能であれば
その環境を変えることも可能となるだろう...

「それはバブルだったから」とか,
「僕たちは,ゆとり世代だから」などという言い訳を
聞くと腹が立ってくる.
私たちが変わるしかないのだ.

そんなことを思いながら,専攻長の話を聞いていた.
学生たちに夢を与えることが大切だという.
私はどんな夢を学生のみなさんに
抱いてもらえるようにできるだろうか.
いや,私の夢はなんだろうか.
今年は新春からいろいろと考えることが多いのである.

4 件のコメント:

  1. 時代のせいにするのではなく、時代の流れを読むのが大事ですね。
    私は何にも考えずに電気に進学したので、そうゆう人間からすると電気の力の大きさに日々驚かされています。
    今の電気にもスマートグリッド、電気自動車、再生可能エネルギーなど鉄腕アトムほどではないにしても、夢につながるワードはあると思います。

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  2. なんと,いくつもコメント
    どうも有難う.

    電気工学に夢を感じてもらって
    どうも有難う.
    でも今の高校生にはどうかな...

    スマートグリッドでは,
    ちょっと力不足かなとも思いますが,
    まずは私たちが夢をもたなければ,と
    思います.

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  3. 最近、エレクトロニクス界の変化の早さはものすごいものを感じますね。こないだは、3Dテレビが発表されて、昨日はSONYがGoogleと提携してネットテレビを発表してました。
    僕はこの激動の時代に生まれたことをラッキーだと思いますよ。
    PC創世記のビルゲイツやスティーブジョブスみたいになるチャンスが自分にも来てると思うと。
    でも、このアドレナリンをどこに発散したらいいかと日々悶々としてます笑

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  4. ゆうとさん,コメントどうも有難うございます.
    確かに激動の時代ですよね.
    ゆうとさんのような人がいると,少し安心できます.
    この激動の時代に,「ほどほど」とか「そこそこ」なんて後ろ向きに考えている学生の危機感の足り無さがはがゆいのです.
    乱世にこそ英雄は生まれるという話なので,ぜひぜひヒーローになってください.

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