2011年4月27日水曜日

蓄電池はスマートグリッドのキーテクノロジーだけど

スマートグリッドという概念は,
電力設備が古くなってきて,電力品質(停電など)が
悪くなってきたアメリカにおいては,
それを改善するための方策としてあるが,
電力品質の高い日本においては,
いかに太陽光発電や風力発電の大量導入を実現するか,
その方策のひとつとして考えられてきた.

そして,震災後の現在,さらに電力の品質の中でも
安定供給,安全という面が注目されていて,
スマートグリッドへの期待もこれまで以上に
高まっていることは間違いない.

その安定供給,安全という品質を実現するために
不可欠なのが,このブログでも何度も言及している
蓄電池(バッテリ)である.
本日は,研究室の引っ越し後の荷物の開梱もそこそこに,
通信やバッテリなどを開発している会社の方が
講演者である勉強会に参加してきた.

やはり震災後,バッテリは注目を集めているとのことで,
震災前は,バッテリは太陽光発電や風力発電の
雲の影響や風の変動による短時間の出力変動を
補償するために用いられることが主に期待されていたけれど,
震災後の計画停電があった現在は,
電力のピークシフトや防災電源という役割への
期待が高まっているのだということである.

バッテリには,NaS電池,Li-ion電池,ニッケル水素電池,
レドックスフロー電池,鉛蓄電池などがあるけれど,
なんといっても車載バッテリとして出回っている
鉛蓄電池が安価で入手しやすいわけで,
それで大量の電力を貯蔵できないかと,
まずは誰でも考える.

しかし,鉛蓄電池の使い方は
通常時満充電の状態にしておいて,
非常時に放電するというのが従来の
方法だったから,太陽光発電や風力発電の
出力変動補償のような部分的な充放電を
繰り返す用途には,向いていないのである.
あっという間に寿命が来てしまって,
いわゆるバッテリが上がった状態になる.

一方,従来の使い方で,もっともわかりやすいのは
停電時の電源のバックアップである.
今回の震災でも,福島の原発において
外部電源がダウンしたあとも,
蓄電池があったおかげで,制御棒が入り,
電池の続く限り,冷却装置などは動き続けていた.
このように非常用電源としての役割がこれまで
大容量蓄電池に期待されるものだった.

実は,私は前の職場で核融合試験装置JT-60の電源の中でも,
非常用操作配電設備の担当だったから,
鉛蓄電池にはなじみがある.
JT-60は大変大きな電力を使う実験設備だったから,
それはそれは大量の蓄電池が非常用電源として
用意されており,それも万一の場合に備えて
二重化されているので,通常必要な電力量の
2倍の鉛蓄電池を管理していた.
小学校の体育館の半分くらいの大きさの部屋に
鉛蓄電池2系統があって,それが寿命管理のために,
エアコンで温度管理されているのである.
こうした大きな空調管理された部屋が必要なのも
大きな欠点であった.

そのうえ,その頃はまだ古い型式の蓄電池だったから,
鉛蓄電池のキャップを一個一個開けて,
電解液の比重を測って劣化をチェックしていた.
(とはいえ,この作業は運転管理をお任せしている
業者の人にお願いしていたのだけれど.
それでもたまに一緒につきあって回ると,
優に二日間の作業であった)
このようにメンテナンスが大変なのも鉛蓄電池の欠点である.

しかし,低価格というメリットのために,
大容量用途にはやはりこれまでは鉛蓄電池であったのだ.
こうした蓄電池はまさかのときのために,
いつも一定の充電状態に管理されている.
また,その方が寿命が延びると言われている.
鉛蓄電池の更新には多大な費用がかかるから.
部分的な充放電を繰り返すのはもってのほかだった.

しかし,先に述べたように現在は部分充放電を繰り返す
運転が求められている.
本日の講演の中でも充放電回数を10000回まで
増やした改良型の鉛蓄電池が紹介されていた.

また別のバッテリメーカが
3時間程度の電力を維持する蓄電池電源を
先日発表している.
3種類のラインナップのうち,一番小さいものは
600W,3時間の維持ができて,価格は150万円.
その装置が小型であるので,たぶん
リチウムイオンバッテリを使用しているのだろう.
そして,1.8kWhの電力を毎日繰り返し充放電しても
大丈夫なように作られているものと思われる.
1.8kWhの充放電だが,使用している電池
そのものの容量はもっとずっと大きいと予想され,
そのために価格もずいぶんと高めのようだ.
(もちろん,常時充電し,停電時,一定周波数
一定電圧を発生する(CVCF)半導体電力変換器の価格も
込みの値段であるけれど)
しかし,ちょっと家庭で簡単に購入できる
価格ではない.

今後,太陽光発電や風力発電を大量導入しようする
日本のスマートグリッドには,蓄電池が不可欠である.
しかし,その蓄電池はいまだに高価で,
性能も十分ではない.
(たとえば,もっとエネルギー密度を上げないと,
小型はできない)

この問題点は,十分認識すべきで,
軽々しくこれまでの原発の代わりに,
蓄電池が不可欠である太陽光発電や風力発電を使えばよい,
などとはいえないのである.

#これまでも電力,蓄電池,自然エネルギーについて
記事を書いています.

こちらからどうぞ

#今日のプレゼンの論点は,
バッテリの制御のためのインターフェースの
標準化が,いろいろな方式があるために,
頭を悩ませている.
また,標準化という面では,日本は
またまた欧米に大きく遅れている,というものだった.

#また本日の講演者は、スマートグリッドを
プレゼン資料内ではSGと表記し,
発表では「スマグリ」と呼んでいた.
すでに業界ではそんな呼称なのだろうか.
「ハマグリ」と間違う人はいないのかしらん.

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