2011年4月20日水曜日

電力とエネルギーと蓄電池と

電力とエネルギーの区別がつかない,という人も
多いようなので,ここで少し簡単に説明したいと
思います.

電気を水に,蓄電池を水を貯める水槽に
例えて考えてみましょう.

まず,水槽といえば,水をどれだけ貯めておけるか
ということが注目されると思います.
この貯められる水の量が蓄積エネルギーに相当します.

次に水槽の下部に蛇口がついているとしましょう.
水槽に水が貯まっていれば,蛇口を開けると
水が流れ出てきます.
大きな蛇口であれば,水は大量に流れて出て来るし,
小さな蛇口であれば,水は少しずつしか流れ出てきません.
この流れ出る水の量が電力に相当します.

この場合,異なる大きさの蛇口から
水の流れ出る量を考えるときに,
ある一定時間内に流れる量で比較すれば
都合がいいですよね.
そこで1秒間に流れる水の量を「流量」と呼んで,
どれだけ短時間に水を引き出せるか,という
指標にします.

これを電気に直すと,
水の量がエネルギーで,
流量が電力になりますから,
電力というのはどれだけ短時間に
エネルギーを取り出せるのかという指標になります.
そして蛇口に相当するのが半導体電力変換器
(一般にはインバータ)なのです.

だから,どんなに水槽に水が貯まっていても
蛇口が小さければ,流量を稼げないように,
どんなに大きなエネルギー容量を持つ蓄電池でも,
そこについている半導体電力変換器の能力が低ければ,
大きな電力を出力することができないのです.
(実際には,電力は蓄電池の特性にも依存しますが)
つまり,蓄電池と半導体電力変換器は,
蓄積エネルギーと電力にそれぞれ関係し,
セットで能力を発揮するわけです.

さて,私たちが電力の話をするときには,
エネルギーという言葉をあまり使いませんよね.
「電力量」という指標を使って,
電力料金を計算しているはずです.
では,エネルギーと電力量はどこが違うのでしょうか?
ということになりますが,実は一緒です.
水槽の例えで言えば水の量です.
しかし,流れ出てくる水の量を量る時間が違います.
エネルギーの場合は1秒単位で測定しますが,
電力量の場合は通常1時間単位で考えます.

電力は1秒間あたりに移動するエネルギーの量を
示します.
だからエネルギーの量は電力を
積算することによって計算することができます.
エネルギーの単位はジュール(J)です.
電力の単位はおなじみのワット(W)ですが,
これは1秒あたりのエネルギーということで,
ジュール毎秒(J/秒)とも表すことができます.
逆に電力が一定でしたら,電力×時間で
エネルギーが計算できます.
たとえば1キロワットが1秒出力されたら,
1キロジュールというわけです.

さて,電力量はどう計算するのでしょうか.
おなじ電力×時間ですが,
1時間という単位で考えるので,
1キロワットを1時間出力した場合には,
1キロワット時すなわちキロワットアワー(kWh)となります.

これでみなさん,電力料金の請求書で
お馴染みの単位となるわけです.
因みに現在の電力料金は,1kWhあたり
およそ二十数円になっていると思います.
(電力料金は,契約電力によっても変わります)


しかし,エネルギーであれ,電力量であれ,
電力を時間で積算していくことには
かわりありません.
そういえば,昔のタイプの電力計は
積算計とも呼ばれていましたよね.


では,1kWhは何ジュールなのでしょうか.
ジュールは一秒で積算していくのでした.
ですから,1時間=3600秒で計算して,
3600キロジュールということになります.

このように,電力と電力量は間違いやすいのですが,
水の流量と貯水量の関係にあると覚えてもらえば
わかりやすいと思います.


ところで,蓄電池の性能は,
まずは蓄積エネルギー(電力量)と
電力で決まります.
どれだけ多くの電力量を貯蔵できるか,
そしてどれだけの大きな電力を出力できるか,
そのために,リチウムイオン電池などの
新型電池が開発されてきたわけです.

その他,蓄電池には,効率が高いことが望まれます.
蓄電池の損失は,水槽がひび割れしていて水漏れすることに
相当します.
この場合,貯めた分の水100%を取り出して使うことはできません.
10%どこかに水漏れしていたら,使える水の量は90%.
すなわち,効率は90%ということになります.

また寿命も重要です.
水を入れたり出したりしている間に,
ひび割れは大きくなっていきます.
出し入れする回数が多いほど,
また,その水量が多いほど,ひび割れは大きくなりやすく,
寿命は短くなっていきます.
携帯電話や携帯音楽プレーヤーの電池の
持ちが悪くなるのはこれにあたります.

ということで,高性能の蓄電池というのは,
上記のポイントが優れたものをいうわけです.

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今回は,電力とエネルギー(電力量)の概念の違いから,
蓄電池の性能の話を,蓄電池を水槽に例えて
説明してみました.

電気系の大学生には,普通こんな話はしないので,
なかなか大変でした...

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