2011年6月23日木曜日

最近の電力関係の話題から

最近,私の考えをブログ記事にまとめるだけの
余裕が無いので,下記のとおり少しずつ書いておきます.
個別の話は,またあらためて書きたいと思います.

【復興住宅への太陽光発電】
復興住宅に優先的に設置するというニュースがあった.
太陽光発電が,集中的に大量に設置されると,
まずは配電線の電圧上昇を招くという問題が引き起こされる.
(もちろん,その後はもっと他の問題も大きくなるが)
解決策が示されていないと思うのだが(学会でも
研究発表がされている段階),一体どうするつもりなのだろう.
電力会社はそれを受け入れたのだろうか.
太陽光発電に投入するお金があったら,
もっと別の復興目的に使ったら良いと思うのだけれど...

【再生可能エネルギー全量買取り】
新エネ法が本当に可決されたら,メガソーラでもうけようと人と,
電機メーカ,施工業者などは,喜ぶだろう.
太陽光発電設備を導入できない人たちは
黙って電気料金の値上げを受け入れるしかない.
しかし,固定価格買取り制度が
本当に新エネ導入の解決策なのか,疑問に思う.

【太陽光発電による配電系統の電圧上昇と全量買取り制度】
太陽光発電が集中的に配電系統に導入されると,
その系統の電圧が上昇して問題をきたす.
したがって,戸別に導入された太陽光発電システムは
電圧がそれ以上上昇しないように,発電量を
抑制することになる.
そうすると,変電所からの距離や負荷の状況によって
他の家に比べて,太陽光発電の発電量を
抑制してばかりいる家が出てくる.
発電した電力を電力会社が買い取ることによって,
発電システムへの投資を回収するのだから,
この発電を抑制しがちな家にとっては,
この状況は大きな不利益である.
これをどう解決するのか?

【原発停止】
新エネはまだ代替にならないから,火力で頑張るしかない.
CO2削減目標の達成は難しくなるだろう.
燃料代が高くなるし,電気料金が高くなるのは避けられない.
そして何より電力の安定供給が確保されなければ,
企業は海外に逃げていくだろう(昨日も日本電産が海外に
シフトしていくというニュースがあった).
これからまた経済がシュリンクしていく.
これがみんなが望んだ結果なのかと思う.

【節電】
ピークは節電しないといけないと思うけれど,
総量はそんなに厳しくしなくてもいいのではないかと思う.
大学も節電に乗り出したけれど...

【送配電分離】
送配電分離によって,電気料金が安くなるというロジックがよくわからない.
ただでさえ,電力会社の送電部門は,電力の安定供給のために,
設備拡大の指向がある.
設備投資が加速していくときに,これを誰が止めるのだろうか?
そして,その投資はどこで回収されるのだろうか(もちろん,電気料金だけど)
発電所の計画とだれが,どのように整合性をとっていくのだろうか.

そして誰が発電部門に参入するのだろう?
工場などのIPPは参入するとしても,その発電量はたかがしれている.
例え彼らが安価な電力を供給できるとしても,それは一部に限られるだろう.
その他は,メガソーラだろうか?
そもそも日本の電力市場は,今の節電の状況でなくとも,
人口減少,そして景気の後退(これは今後加速しそうだけれど)によって,
どんどん縮小していくことが予想されている.
この市場に参入しようとする企業は誰なのだろう.
疑問に思う.

【電力の選択購入について】
もう原発はイヤ.
少しくらい高くても新エネルギーで発電された電力を使いたい,
という要望も理解できる.
それができたら理想的だ.

技術的には,同じ送配電線を使用する限り,
電力を区別することはたいへんに難しいが
(含まれている成分の割合はわかるだろうけれど),
別個の送配電線(自営線)を独立に
新エネルギーに割り当てれば可能となるだろう.
まぁ,送配電線設備は巨額のコストがかかるだろうし,
(したがって,発電,送配電ともにコストが高くなるので,
電気代はずいぶん高くなるだろう)
電力品質はずいぶんと悪くなるだろうけれど,
それを希望して購入するのだから問題ないと思う.

そうした電力にこだわる人は,
雇用先も新エネルギーで発電された電力を使って
いなければ,気が済まないはず.
だから,その雇用先の企業も,値段の高い電力を使用するので,
経営は苦しいだろうけれど,そうした企業の製品を選択して購入する
人たちによって支えられるだろう.

その他,インターネットも交通・運輸も切り離して
考えることになるだろう.
これらは相当量の電力を消費しているけれど,
彼らの電力も原発由来は許せないだろうから.

電力の発電由来を選択できる世界.
まさに理想郷である.


ということで,結構ブルーになっているのでした.

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