2012年6月4日月曜日

考現学 今和次郎


考現学の今和次郎の展覧会が日本民族学博物館(民博)で開催されている。私は非常に興味がそそられているのだ。

「考現学」というのは、一般にはあまり馴染みが無いと思われるけれど、赤瀬川原平、荒俣宏らによる「路上観察学会」なんて活動もあるくらいで現在にもそれなりに影響を与えている学問なのだ.現代の建築や風俗を観察し体系的に整理、分析するような活動をしている。大正後期から昭和初期に今和次郎(こん わじろう)が提唱し始めたことになっている。

荒俣宏といえば博学で有名だけれど、私が初めて考現学を知ったのも彼が書いた小説「帝都物語」に今和次郎が登場したからである。映画「帝都物語」でも彼が銀座かどこかで観察しているところが紹介されていた。いとうせいこうが演じていたと思う。それが妙に印象に残っていたのだ。

例えば、女性のスカートの短かさを三段階に分けて,銀座のある通りを行き交う女性のスカートの長さの統計をとるとか、あるいは化粧の濃さで統計をとるとか、そんなかなり身近なところから、その観察対象は広がっているのだ。

もちろん,もともとは建築学ということで,スケッチは農家や納屋などのものも多いのだが,単なる写生ではなくその絵にはそこはかとなく生活に対する暖かい視線が感じられて面白い.最初は柳田国男に同行して東北の村などでスケッチをしていたらしい.

また,マジノ線と呼ばれるフランスの対ドイツ要塞線に模した絵が描かれていて,その湾曲した線にそって言葉が書かれているスケッチもあるのだけれど,マインドマップに似ていてたいへん興味深い.放射線状に発想を記していくという行動は意外に万国共通のものなのかとも思う.しかし,それをすでに戦前から実践していた今和次郎の先見性には驚かされる.

今和次郎は,工学院大学に最後のころはお世話になっていたこともあり,今の研究資料などは工学院大学に寄付され,コレクションとして公開されているとのことである.あぁ,いつか見てみたい.

今和次郎などの活動を知って思うのは,発見はいつも観察から始まるということ.実際に起っている現象を子細に観察し,考察することからアイデアが生まれるのは,どの学問でも同じなのではないかと思う.心に銘じておきたいものである.

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