2013年1月23日水曜日

現代の新しい百物語 「新耳袋」

つい最近,「新耳袋」第5夜を読み終えた.それも1日でである.

「新耳袋」は10巻まであり,各巻99話で構成されている...はずなのだが,実は巧妙にあと1話が掲載されており,各巻を最初から最後まで読むと100話を楽しめるということになっている.なぜ100話構成なのに,99話としているか.それはもちろん,お察しの通り「百物語」の怪異を気にしているからである.

「百物語」というのは,江戸時代にはずいぶんと流行ったようで,一種の肝試しではなかったのだろうか,と思う.その方法は,夜に参加者が集まって,100本のろうそくに火をつけて,一話ずつ怪談を話し終えるたびに,ろうそくの火を消していく,というものである.100話を語り終え,最後のろうそくを消した後,真っ暗の部屋の中でなにかしらの怪異が起こると言い伝えられている.

「新耳袋」も最初発刊されたときには,100話まで番号が振られて怪談が掲載されていたようなのだけれど,100話を読み終えたときに怪異現象を体験したという読者からの便りが多かったために,新装版がでる際には,99話までの掲載としたのだという裏話が紹介されている.

「百物語」でまず思い出すのは,大映の「妖怪百物語」という映画.小学生の頃にたぶん見たのを覚えているのだと思う.それも小学校の屋外の運動場に白い幕を張って,そこに上映されていたのを見たのだと覚えている(一時期,「化け猫」とか「皿屋敷」とかそんな映画が流行った頃があった.同時上映はだいたい「座頭市」シリーズか「トラック野郎」シリーズだったような気がする).のっぺらぼうが怖かったんだよなぁ.その他,ろくろ首やから傘おばけなどのクラシックな妖怪が次々と登場する,なかなかすごい映画だった...

次に思い出すのは,漫画家 杉浦日向子の「百物語」.これも秀逸な作品で,ぜひその不思議な世界を楽しんで欲しいと思う(あまり有名ではないのかな...)

「百物語」というのは,いまよりももっともっと暗闇が暗く,妖怪やお化けがもっともっと身近だった頃のひとつの素晴らしいエンターテイメントだったのだろうと思うけれど,現代においてももっともっと注目されて,楽しんでも良いと思うのだ.

さて,その日私は第5巻を1日で読み終えた.それに気づいたとき,少し怖かったけれど私のところにも「怪異」が現われるのかと楽しみにして夜を迎えた.そのあとは...それは内緒です(笑)


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