2015年9月28日月曜日

ジュネーブでは,オシャレな腕時計をしている人が多かった

スイス ジュネーブで腕時計を見て考えたこと.その2.

まず,スイスで時計を買えば安いのか,と思って町中をブラブラとウィンドウをのぞきながら歩いてみた.その結果わかったことは,10万円以下の時計では,値段は日本で購入するのとほとんど変わらないということである.たぶん,数百万円もする時計であれば,関税の分安く買うことができるかもしれないけれど,10万円程度ではその効果は値引きの中に埋もれてしまうからではないかと思われる.その上,スイスで購入して並行輸入扱いされてしまうと,保証についても不安が残るので,結局のところ,私が買える範囲の腕時計については日本で買えば良いということにした.

それでも,いろいろな時計がウィンドウに並んでいるわけで,それを見て歩きまわるだけでもたいへん楽しむことができる.最近,気になっていた時計は,HamiltonのKhaki TitaniumやTraser H3 MILあたりのミリタリーウォッチなのだけれど,実物を見てみると意外に魅力がなく興味が随分と下がってしまった.腕時計はやはり現物を見て,そして腕につけてみて買うべきだとあらためて思う.ネットで購入するのはちょっぴり怖い.

夜は,ジュネーブの市街でレストランに入って食事をしたのだけれど,そこで給仕をする人でさえオシャレな腕時計をしていることに感心した.また,ある夕方はピザレストランに入ったのだけれど,ウェイターがしていた時計はMIDOのダイアルがオレンジに光るカッコいいものだった.ウィンドウで見た価格は確か10万円くらい.それに気づいた時,「おおぅっ,やるな兄ちゃん」と心の中でつぶやいてしまった.

ウェイターの兄ちゃんだけでなく,やはり町中にもオシャレな時計をしている人が多かった.いかにもビジネスウォッチというタイプの腕時計をしている人は少ない.それがたとえ地元のおじいちゃん達であっても,洒落た時計をつけている.それは文化なのだろう.さすがジュネーブは違うと思った次第...


2015年9月27日日曜日

パテックフィリップ美術館 (ジュネーブ)を訪れて

今年の国際会議は,EPE'15 ECCE-Europeに参加ということで,スイスのジュネーブに行ってきた.

ジュネーブを訪れたのは実は2回め.2001年にコイルに関する国際会議Magnet Technology 17thに参加したときに,同じ会場ICCG(International Conference Centre Geneva)で発表したのだった.研究所の同僚と一緒にホテルに泊まったはずなのだけれど,どこに泊まったかは定かでない.そしてどこで食事をしたのかも.ただその後,スイス エアーが倒産してロンドンに行ってからバッゲージがロストしたのを覚えている...それはまた別の機会に.

さて,今回は少し観光もできた.空き時間にパテックフィリップ美術館を1時間だけ見ることができたのである.パテックフィリップといえば,腕時計に興味がない私でさえ高級時計であることを知っているほどのメーカであるけれど,私はその実力を少し甘く見ていたと反省.美術館には想像を越える超高級時計がこれでもかと並んでいて,ただただ,ため息をつくばかり.あっという間に時間が過ぎていってしまった.

美術館は4階構成で,1階と4階は資料的な意味合いが強い展示(時計職人の実演もある)なのだけれど,2階と3階は宝物殿そのものである.3階はアンティーク時計が並んでいるのだけれど,そもそも当時時計を持つことが許されたのは貴族階級であったわけで,当然のように金銀,宝石で飾り立てられた懐中時計や,女性用の扇子の親骨に埋め込まれた超薄型時計など,贅と技術の限りを尽くされた16世紀からの芸術品がケースの中に肩を押し合うようにして並べられていた.あまりにキラキラしすぎて,途中からもう価値がわからなくなるくらい.

2階の現代までの作品のコレクションにしても同じこと.スキのない高級感が見ているこちらを緊張させる.ただ男性用の腕時計というのは近代から作られるようになったものであって,それなりに実用性を兼備した製品は少しだけ身近に感じられて幾分ホッとした.しかし,パテックフィリップの腕時計というのは,最初のモデルからひとつの完成形をしていて,ここをもうちょっと変えたらいいと思うようなところが少しもない.たとえそれが昔のモデルで,その時代を強く反映したデザインといえども,古めかしいところが全然ない.近代に書かれた名画であっても古くさく感じないのと同じ理由なのだろう.つまりは,腕時計は工業的デザインの範疇にあるものではなく,芸術作品として存在しているものなのである.その点が印象的だった.

美術館を回って思ったことは,腕時計,特に機械式の腕時計は,芸術品として,あるいは精巧な機構を内蔵している精密機械として,それを所有するという欲望を満たすものであって,実用品ではないということである.少なくとも私はこれまで腕時計は実用品だと思ってきたのだけれど,そうではない世界が確かにあって,それをここで体験することができた.少しばかり世界が広がった.確かに高級時計を所有するのも悪くない.

私が当日身につけていたのは実用本位のアナログ腕時計.それがちょっぴり恥ずかしくなった.もうちょっと洒落た時計を持つのもいいなと思い始めた.


*美術館について
外から見て,美術館には思えない普通のビルの中にある.だから探すのに苦労するかも.
受付には,少々無愛想な綺麗な女性が2名並んでいて,場内の注意と地下のコインロッカーを案内してくれる.入場料は10スイスフラン.コインロッカーを使用するためには別途コインが必要なので小銭の用意が必要(もちろん,荷物を出すときに戻ってくる).