2018年4月1日日曜日

髪の毛のTHD

ある一部の専門分野の特別な用語が一般で使用されるようになった例はいくつもある.
たとえば,刀剣に関わる言葉だけれども「反りがあわない」とか,「切羽詰まる」なんて普通の人も使っている.「鎬を削る」なんて言葉ももはや一般化していると思われる.

同様に,電気の世界の専門用語が一般化されていくこともあるかもしれないと思う出来事があった.

ついこの間のこと.ある電気の学会で女の子同士の会話が耳に入ってきた.

「朝から髪のTHDが高くって...」

THD?
それって,電圧や電流の波形が正弦波からどれだけひずんでいるかを示す指標のことか?とピンと耳をそばだてた.

THDとは,Total Harmonic Distortionの略語で,総合ひずみ率のことである.パワーエレクトロニクスなどの分野では普通に使われる指標で,この値が低ければ低いほどなめらかな正弦波に近いということを示す.

すなわち,その女の子は自分の髪の毛が朝から思い通りに真っ直ぐにならず,ちょっと縮れていたということを言いたかったのだろうと思われる.たぶん外を歩くには,THDは5%以下が望ましいのだろう.

とにもかくにも珍しい言葉の使い方だなぁとは思ったのだけれど,同時にこの専門用語が一般化することはあるまいとも思ったのである.

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