2012年7月6日金曜日

電力と電力量

以前にも,「電力」と「電力量」の違いについて書いたのだけれど,今回は少し図を描いたので再び簡単に解説.詳細は以前の記事を参考にしてください.

「電力」と「電力量」の違いは,「パワー(仕事率)」と「エネルギー」の違いに相当します.
水槽に貯められた水について考えてみたいと思います.



水槽に貯められる水量(m^3)は水槽の容積に依存します.一方,単位時間あたりに蛇口から出力される水量(m^3/s)は,蛇口の開き方に依存します.したがって,それぞれは別の量となります.

これを電気に代えて考えてみたいと思います.
貯められた水量は,エネルギーに相当します.エネルギーですので,単位はJ(ジュール)です(ちなみに,1カロリーは4.184ジュールです).蛇口から放出される流量は,仕事率に相当します.仕事率ですので,単位はJ/s(ジュール毎秒)です.

しかし,電力の世界ではエネルギーを電力量と呼び,ジュールよりもkWh(キロワットアワー)で表すことが一般的です.一方,仕事率については出力(ときには入力)あるいはパワーと呼び,単位もジュール毎秒よりもW(ワット)やkW(キロワット)で表します


1 kWhとは,1 kWの負荷(たとえば1kWのヘアドライヤー)を1時間連続して使用したときに消費されるエネルギーを表します.
1 kW × 1 hour = 1 kWh
1 Wを1秒使用したときのエネルギーが1Jですから,1kWhは,(1kW × 3600秒)なので3600 kJ = 3.6 MJ(メガジュール)となります.

貯めることができる水量は水槽の大きさに依存するように,電力貯蔵装置(たとえば蓄電池電力貯蔵装置)では,蓄積できるエネルギー(電力量)は蓄電池の容量に依存します.一方,取り出せる流量は蛇口の開き方に依存します.これは,蓄電池に取り付けられた交流/直流電力変換器(AC/DCコンバータ)の容量に相当することになります(実際には,蓄電池の性能にも大きく依存します).


大きな電力量を蓄積できていても,小さな電力しか出力できない電力貯蔵装置もあるし,あるいは短時間の電力量しか供給できないけれど,大きな電力を出力できるという電力貯蔵装置もあるわけで,それらは用途に応じて適切に設計されることになります.

もうひとつ,電力貯蔵装置の性能指標に不可欠なのが「効率」です.効率の定義はいろいろありますが,ここでは入力した電力量に対し,出力できる電力量の比として考えます.

効率 = 出力電力量 / 入力電力量 = (入力電力量 - 損失) / 入力電力量

実は蓄積された電力量は100%出力できるわけではありません.蓄電池でも超伝導コイルでもコンデンサでも,損失が存在し,蓄積された電力量は目減りすることになります.また蛇口に相当するAC/DCコンバータにおいても損失が発生します.この損失は,水槽の水漏れに例えることができます.効率が良いといわれる蓄電池でも効率は70~80%といわれていますから,だいたい2割から3割の水が漏れてしまうという非常に質の悪い水槽と言えるかもしれません.

電力貯蔵には,蓄電池の他にも超伝導コイル,揚水,圧縮空気,電気二重層キャパシタなどがあり,蓄電池にもリチウムイオン電池やNAS電池,レドックスフロー電池,鉛蓄電池,ニッケル水素などさまざまな種類があります.こうしたものを利用した装置の性能を比較するためにも,電力と電力量の違いを理解しておきたいものです.
(その他の比較指標としては体積エネルギー密度,重量エネルギー密度,繰り返し寿命など種々なものがあります)



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