2020年6月29日月曜日

ラジオ番組「Night i」終わる

新潟の地方FM局 FM PORTが6月30日に停波(閉局という意味らしい)する。今年で開局20周年のはずだったのに。やはり財政的な問題らしい。新潟というマーケットの小ささは否めない。

それに伴い,私が好きだった「Night i」という番組がとうとう終了してしまった。せっかく昨年から長岡に異動してきて,聴く機会が増えたと思っていたのに本当に残念である。

この番組,なんといってもパーソナリティの松本 愛さんがの声が魅力的で,ちらりと聴いただけでも記憶に残るような素敵な声である。しかし,それにも増して素晴らしいのがリスナーの相談に対する松本さんの回答である。相談を真摯に受け止め,そして正直に答える。その際の相談者への心遣いが素晴らしい。こんなお姉さんみたいな人が上司にいたら,職場で人気が出るだろうなと思う。私よりもずっと(でもないかもしれないけど)年下なのだろうけれど。

私がこの番組を聴く機会を持ったのは,10年ほど前のこと。父が入院していて,関西から毎週のように新潟に帰省していた。その頃,すでに父の状態はあまり良くなかったので,見舞いのあと日曜の夜に関西に帰るときは,後ろ髪ひかれるような心持ちで深夜バスに乗ったものである。

そんな帰りの深夜バスの中,私はこの番組を聴いていた。深夜バスの狭い座席の上でイヤホンを耳にして松本さんの話を聴いていた。今もそのときの様子を,松本さんの声を聴くと思い出す。

ラジオの番組って,こんなふうにひとりひとりの記憶のアンカーとして存在しているようなものなのだとあらためて思う。受験勉強のことを思い出すとビートたけしのオールナイトニッポンが聞こえてくるような気がするし,高校時代クタクタにつかれて布団に入ったことを思い出すと松田聖子のピンクのスニーカーが聞こえるような気がする。

そして,松本さんの声を聴くと父のベッドの上の姿を思い出す。ラジオの番組は,こうしてひとりひとりの思い出に深く関わっている。

その一方で,誰かとの共通の体験にでもなる。
ラジオ番組の制作に関わることができた人はそうした意味で幸せなのかもしれない。誰か大勢のの役に立っていると実感できる仕事はそうそうないから。

でもその分,こうした番組が終わってしまうときの喪失感も大きい。今後私の父の思い出は何をトリガーとして思い出されるのだろう。

2020年6月27日土曜日

私は誰にあったらうれしいのか

テレビのドッキリ番組で憧れの芸能人に会うという企画がある。これは日本でも海外でも同じようでYoutubeを見ると海外の番組の動画がアップロードされていて,いくつかを見ることができる。

その有名人は,ジャスティン・ビーバーだったり,アーノルド・シュワルツェネッガーだったり,ダニエル・ラドクリフ,ビリー・アイリッシュだったりする。

海外の番組で感心するのは,セレブに会った一般人の反応である。日本では有名人に会うと腰が抜けたり逃げたりするけれど,海外ではセレブにハグを求める人が多い。おおむね積極的なのである。

私はそれを見ていてうらやましく感じるのだ。
私だったらどう反応するだろう。私だったらやはり逃げてしまうのかもしれない,などと衒いもなくセレブに抱きつく人たちを見てうらやましく思うのである。

でも一番に思うのは,私は誰に会ったらあんな風に喜ぶのだろうということである。
私にはそういう人がいないのではないだろうか。会えたことに喜び,涙を流すような人が。

誰にあったら感動できるのだろう。私はいま思いつかないのである。
もしかして,私は夢のない寂しい人生を歩んでいるのではないだろうかと恐れている。感動する人も,モノもないなんて,そんな毎日は悲しすぎる。

ちょっとしたことでいいから楽しみを探してみよう...

2020年6月19日金曜日

ジーン・シモンズ ~誇り高き悪魔~ の名言に涙する (2)

NHK番組「ストーリーズ 誇り高き悪魔 KISS ジーン・シモンズ」より,彼が引退ラスト世界ツアーで来日した際のドキュメンタリーで語った名言(のつづき)。

5) 「始めるのは簡単だ
歳を重ねキャリアが長くなればなるほど苦労は増える
人生はもがきの連続だ」

6)「正直 体力的にキツい
だが我々は“世界一ホットなバンド“
最後までその言葉に偽りがあってはならない」(泣けるなぁ...)

7) 「母はいつも私に言っていた
日々 命があるだけで良い日なんだと
生きていて健康ならば それだけで勝者なんだ」(母親はホロコーストの生き残り)

8)“生かされている限りは 上を目指す責任がある”(母の教え)

9)ユダヤ系の本名,ハイム・ヴィッツから
アメリカ風のジーン・シモンズに改名したことにふれて,
ーーーある日,突然ジーン・シモンズになったのですね。

「そうさ 毛虫がある日蝶になるようにね
一瞬だ」

10)「他のバンドがやらないことをあえて行った
バカげているけどゴジラをまねて火を噴き始めたんだ」

11)「私は常に働いていたい I wanna work every day.
人生の時間は限られている 
人生の3分の1は熟睡している The third of your life is spent in a coma
休みはそれで十分だ」

12)「人生の時間は限られている
それを理解していない人間は 
誰かに殺されかけたとき初めて
“まだ死にたくない”と叫ぶだろう
人生は貴重だ Life is precious」

13)「もう46年もこんなことをやっている
私が唯一求めていたのは,
自分のバンドのレコードが1枚だけ店頭に並び
そのレコードを自ら買うことだった
その行為に魔法を感じていた
こんなに続くなんて夢にも思っていなかった
ビートルズほどにはなれなかったが 悪くない」

14)「我々を制限するものなど何もない
みんな自由なんだ You are free.

夜が明けたら昨日の自分の記録を塗り替えろ 
そうすれば 君はチャンピオンだ If you do, you are the champion」



15)「我々には誇りがある
世界王者のボクサーのように勝者のうちにリングを退く
ノックアウトされ敗者になる前に
我々は頂点で去る」

16)「日本のツアーが終わったから少し寂しいけど
若いファンが父親と一緒に来ているのを見てうれしく思ったよ
すばらしいよ 
まるで魔法だ
お店で買えないものだからね
缶詰のグリンピースや人参,ハンバーガーは買えるけど
子どもたちの笑顔は買えないからね
それを一番愛している 」(涙)

17)新型コロナウィルスの影響で世界ツアーが中断してしまったが,ファンに向けてのメッセージ。

「大事なのは君たちの安全だ
科学者のGOサインが出た時 我々は再びステージに立つ」

これらが70歳のロックンローラーの言葉なのだと思うと本当に泣けてくる。
私も明日から頑張ろうと思う。




2020年6月18日木曜日

ジーン・シモンズ ~誇り高き悪魔~ の名言に涙する (1)

NHKの「ストーリーズ」という番組で,KISSのジーン・シモンズの最後の世界ツアーのドキュメンタリーをやっていた。「誇り高き悪魔」との副題だったのだけれど,ジーン・シモンズももう70歳なのだという。まぁ,私が子供のころからあの悪魔の格好で世界を席巻していたのだから,そんなトシなのも仕方ないのかもしれない。しかし,画面から伝わる彼のオーラは本当に凄みがあった。70歳だろうがロックはロックなのである。生き方に重みがある。

彼はユダヤ系で,母親はナチのホロコーストの生き残りだったのだという。渡米してから苦しい生活の中からロックに目覚めたことをこの番組で初めて知った。そして,ユダヤ風の本名からアメリカ風のジーン・シモンズと名前を変え,ロックバンドを始め,やがて世界的なバンドとなった。

彼はビジネスマンとしても有名だけれど(KISSのプロモーションからグッズ販売までなんでもこなす),とにかくロックンローラーだけではない彼が吐く一言一言がカッコよかった(番組編集が良かったからなのかもしれないけれど)。

心に残った言葉をいくつか紹介

1)「KISSはユニークだ
誰にでも好かれるバンドじゃないかもしれないが
我々のようなバンドは他にない」

2)「お金は良いものだ Money is good.
唯一助けになるものだ
お金がなきゃ何もできない
家族も養えない
飢えている人に優しい言葉をかけるだけでは死ぬ
俺がクソ野郎で「消えろ」と罵声を浴びせても
金さえ渡せばそいつは生き残れる
生きる糧は金さ
いつでも金がもっとほしい 俺は正直だ
金はもう十分と言う奴らは嘘つきだ」

3) LAやNYにKISSのように愛されるレストランを展開していくにはどうしたらよいかという日本のレストランのオーナーの質問に対して,
「英語を学びなさい それだけ  Learn English.  That's it.
英語は大金をつかむ秘密 English is the secret of all the big money.」

4) レストランのオーナーの渡した名刺が表側しか印刷されていなかった(裏はなにも印刷されていなかった)のを見て,名刺をひっくり返して机の上に置いて一言。
「質問だ。
50%の確率で裏側が上に来るのに
なぜ何も書いていない?
裏に何も書いていないと誰も気づかないぞ」
(この言葉のあと,ペンとメモを持ってこさせて,ジーン・シモンズはその場でレストランのロゴをデザインする。そして,「商標登録しろ。明日必ずだ!君たちが明日しなければ私がするぞ!」と言ったのだ)

彼の名言は続く。

とりあえず,私の名刺は表の面しか印刷されていない。裏面のデザインを考えよう。

2020年6月1日月曜日

時代劇の復権

私は時代劇ファンだと公言しているけれど,世間は一向に変わらず時代劇に冷たい。と,思っていたのだけれど,最近それが変わるかもしれないという淡い期待を抱いている。

まずは「鬼滅の刃」。時代は大正時代(?)だけれども,登場人物たちは刀を持って戦う。それぞれ「型」を持っていて,呼吸を整えて技を遣う。そんな「型」を練習するなんていかにも剣術的でうれしい。子供たちの遊びにチャンバラが復活してくれないかなと期待している。

※鬼を刀で切る話,と聞いて最初,楠桂の「鬼切丸」かと思ったけれど,やっぱり違った。火を使って鬼と戦うと聞いて,奥瀬サキの「火閻魔人」と思ったけれどやっぱり違った。

しばらく前からだと,「刀剣乱舞」。以前も京都の名刹に行ってゲームかアニメのキャラクターが飾ってあってがっかりしたのだけれど(大覚寺,膝丸。),今も変わらずあちらこちらの刀剣展が女子であふれかえって好況なのをみると,それはそれでいいのかなとも思い始めた。誰にも見向きをされないよりずっといい。

最近のNHKの大河ドラマ「麒麟がくる」もいい感じだ。チャンバラではないけれど,戦国時代の人間模様を,それも若者たちの戦国時代を描いている。光秀も信長も,そして家康もこれまでの大河ドラマとは違う若者として描かれている。そこが新鮮で魅力的だと思う。

おなじNHKだと中井貴一主演の雲霧仁左衛門シリーズ。言わずとしれた池波正太郎の名作である。地上波でようやくシリーズ4作目が放映されると聞いて楽しみで仕方がない。こうした良作が増えていくと,時代劇人気の復活も近いことだろう。

今年は「るろうに剣心」も新作が待っているというし,これはまた女子が浮き立つことは間違いない。イケメンしか剣客にならないというのは困るけれど,いつかまた時代劇ブームがくるかもしれない。

時代劇はSFと同じで,そうした設定のもとでしか描けない人間模様を描くファンタジーなのである。SFと変わらないから,私はどちらも好きなのである。制約がある状況を想定するからこそ面白い。

そうした面白い時代劇がまたたくさん生まれて,そして時代劇スターもたくさん生まれる。そんな時代がまた来ないかと楽しみにしている。

#司馬遼太郎の「峠」,「燃えよ剣」の映画も今年公開だ!

ネットの書き込みは年寄りばかり

SNSというのは大変面白い。たとえば、テレビでは番組に対する視聴者の反応がわからなかったものが、今ではコメントが書き込まれることによって反応をいくぶん知ることができる。あるいはXなどへの書き込みによって、リアルタイムで感想がタイムラインにあふれることになる。そうした双方向性、即時...