2023年10月29日日曜日

ホーチミン市工科大学訪問(2)ベトナムに活気がある理由

 ベトナム ホーチミンを訪問して,その活気に元気をもらってきた。

まず街に勢いがある。交通状態はひどいけれど,街は活気づいている。みな良い未来を信じているように活動している。日本では昭和の高度成長期にみたような,そんな活力が感じられる。

今回の訪問であちらこちらで聞いたのは,ベトナムという国のすごさ,おかしさ,である。ある日から突然,法令が執行されて厳しく罰せられたり,また一方でよく決まっていない部分が残されていたりで,日本側の人たちは(もちろんベトナムの人たちも)その対応に右往左往させられるのだけれど,ベトナムの人たちは「そういうことがあるのも仕方ない」と半分あきらめて,でも半分はちゃんと対応しているのがすごいと思った。

そこで私は思ったのだけれど,ベトナムに活気があるのはそんな法令的にも制度的にもグレーな部分が存在しているからではないか,ということである。国が成熟して,法令・制度が固まってくると,リスクを取る必要がなくなり,安心な未来が見通せるようになる。しかし,それでは人間の荒々しい勢いと活力が減少するという結果を産んでいるのではないかと思うのである。

ベトナムでは交通ルールは相変わらずひどいし,街も汚かったりする。制度的にも抜け穴が一杯あるときく。しかし,だからこそ成功への可能性がまだあちらこちらに残っている。だからみんな夢見ることができるのだろう。これが社会構造が固まってしまって,人間がその「生まれ」によってその将来がだいたい決まってしまう,という日本のようになってしまったらどうだろう。この荒々しい活力は火が消えるように収束してしまうのではないだろうか...

人間というのは,清潔で安定な環境を好むけれど,一方でそうした環境を壊したいという破壊本能もどこかに持っているのだと私は思っている。だから冒険に憧れる人もいる。その衝動をうまく社会を回すことに使えなければ,社会のどこかで鬱屈とした悪事がはびこるか,あるいはどこかで革命,戦争が起こるかしてしまうのではないかと思う。

そのような人間の本能をうまくコントロールすることができた社会こそ,持続可能になるのではないかと思う。ベトナムくらいにグレーな世界こそ,人間が最もイキイキできるのではないかと思うのである。

ベトナムでセカンドライフを楽しもうとする人もいると聞いた。その理由もわかるような気がする。日本のように老化し衰退していく街に済むより,少しぐらいグレーでも活力のある街で余生を楽しく,元気に過ごす方がずっと人間的な最期を迎えられそうな気がするのだ。

2023年10月28日土曜日

ホーチミン市工科大学訪問(1)ベトナムは着実に発展している

 私が努めている長岡技術科学大学と交流関係が深いホーチミン市工科大学を,19日(木),20日(金)に訪問してきた。18日の夜にホーチミン市の空港に到着。翌日朝7:30からホーチミン市工科大学で開催されていた電気関係の国際会議ISEEに参加し(私は特に発表もなかったのだけれど),その後先方の大学の電気関係のDeanや国際交流関係の部署の方々と打ち合わせし,その後,現地の企業なども訪問し,金曜日の23時近くに日本に向けて出発するフライトで帰国する弾丸ツアーであった。

とはいえ,私はベトナム関係の学事を主として担当されている先生に同行する形であちらこちらについて行っただけなのだけど。主担当の先生は,そのあちらこちらで交渉をしてくださっていて,私は笑顔で相槌を打つか,ときどき「えっ」という顔をしてこちらが不満をもっている雰囲気を伝えるだけの役割だった。すみません。だけど,ちょっと疲れた。

さて,ベトナムを訪れるのは3年ほど前にハノイ工科大学を訪問して以来の2回めである。ホーチミンはもちろん初めて。帰国の日に初めて,ホーチミンはサイゴンだったのだと知った。そうなのか!私が観た「ミス・サイゴン」はこの町が舞台だったのか!と思うだけで感激した(感激したのは最終日の昼だったけれど)。いつか観光もしてみたい。。。

さて,ハノイと変わらずホーチミンも交通の混雑状態がひどい。街のあちらこちらでクラクションが鳴らされているし,バイクは交差点においては歩道に乗り上げて信号待ちをするくらいである。特にバイクは歩行者スレスレを走っていたりして,私はビクビクしながらホテルから大学までの道筋を歩いた。

しかし,街がハノイではなくホーチミンと違うこともあるのかもしれないけれど,2020年にベトナムを訪問したときよりも街がずいぶんと洗練されていることがはっきりと感じられた。また街を走っている車もずいぶんと高級車が増えている。つまりはベトナムの発展が,このホーチミンという都市でははっきりと現れているということである。遠くをみれば,高層ビルが立ち並ぶ区画もあり,そこでスタバなどを楽しむ学生たちも裕福そうで,日本で貧乏学生ばかりを見ている私からは,ホーチミンの学生たちの方が学生生活をエンジョイしているように思えた。

もちろん,貧困の差ははっきりあるのだろうし,私が見た人たちは一部の裕福な層であることは間違いなのだけれど,街を行き来する人たちのグレードも確実に上がっているような気がした。みなさん,小綺麗な格好をしていて,前回ハノイを訪問したときに見かけた,日本の古い昭和のファッションをしているような人たちが見かけられなかったのである。あちらCOACHやNIKEなどのブランドショップもあったし。

あぁ,活気がある国っていいなぁ,としみじみ思ったのである。

2023年10月22日日曜日

中部電力MIRAI TOWERの展示オブジェに興奮する

 今年は名古屋に3度も足を運んだのだけれど,学生たちと一緒にテレビ塔を観にいったのは楽しく良い思い出である。

ライトアップされたタワー
昔はこの栄のタワーは「名古屋テレビ塔」と呼ばれていたかと思うのだけれど,いつのまにか「中部電力MIRAI TOWER」という名称になっていた。それに伴い,内部もきれいに改装されていて,おしゃれなデートスポットとなっている。私も学生たちと訪問してかなり盛り上がった。しかし,それはおしゃれな内装や有料で登ることを諦めた展望台からの景色のためではなかった。

タワーの入り口に入るとコンパニオンの女性の方が声をかけてくれる。「展望台はこちらです」。しかし,私達は軽く会釈をするかしないかで,すぐに入って右側にある展示物に釘付けとなった。そこには,古い電気設備がオブジェとして飾ってあるのだ。


タワーの銘板?
支持がいし,分電盤のあと,そしてナイフスイッチとヒューズ。どれも電力心に突き刺さる。また非常口などの文字のフォントも昔ながらでカッコいい。実際に使われていた状態で展示されているのを見るのは初めてだ。学生たちも,コンパニオンさんそっちのけで興奮して見ている。あぁ,喜んで良いのか,悪いのか。彼らは電力工学研究室の学生たちなのだ。

このあと無料で上がれる展望台までは登ったけれど,結局一番盛り上がったのは,1階に展示されている電力関係のオブジェたちだった。私達の他,誰がこれらのオブジェで盛り上がるのだろうか,と思いつつ,これを展示したセンスに感服。もっとレアなものを展示してほしい。



分電盤のあと

カッコいい昔の文字フォント

ヒューズ群

今とは異なるフォントの赤文字が部屋に入ってはいけないことを主張している





2023年10月21日土曜日

ハロウィーンといえばThe Nightmare before Christmasではないのか

10月31日といえば,ハロウィーンである。 

学生とハロウィーンについて雑談していて,ハロウィーンといえば映画「ET」が思い出されるなどと話していたのだけれど,私が"The Nightmare before Christmas"と言っても誰もピンと来ていないのを見て少しショックを受けた。

(まぁ,ハロウィーンといえば普通ホラー映画の「ハロウィーン」シリーズを思い浮かべる人が多いのだろうけど)

ネットで調べて,ガイコツ姿のジャックの姿を見て初めてそれが私の言った映画の主人公だと理解してもらったのだけれど,あれだけ有名だったはずの映画が今の若者には認識されていないということに少し傷ついた。

"The Nightmare before Christmas"は,ティム・バートン監督のストップモーションのようなCGのようなアニメーション映画で,主人公のジャックの姿をみれば今でもあちらこちらにキャラクター商品が売られているから,あぁ,あのキャラクターか,と思ってくれる人も多いことは多いのだけど。

しかし,ネットで調べると公開は1993年だというから,今の学生が知らないのも無理はない。私は当時この映画を観て興奮し,「ティム・バートンすげぇぜ!」などと言っていたのだった。当然,同じような3Dアニメの"Tim Burton's Corpse Bride"も観ている(2005年公開らしい)。

登場人物のデザイン,映画のどこか懐かしくて気味の悪い背景,そしてサンタクロースを誘拐し自分たちでクリスマスを祝うという素晴らしいストーリー。どれをとってもハロウィーンに観るべき映画だと思う(と,自信を持ってこの文章を書いていたのだけれど,実はこの映画はクリスマス映画なのではないか?との疑問が...)。

主人公ジャックのあの異常に長い手足。ヒロイン サリーの口裂け女具合,そして市長の円錐形の体格など,キャラクターデザインが本当に素晴らしい。だから今でもグッズが売れている。そして,ジャックはパンプキン・キングのジャックなのだ(つまりハロウィーンのジャック・オー・ランタン)!この映画はミュージカルなので彼は歌って踊る!このシーンがまたよくできている。音楽はダニー・エルフマン。オープニングからして間違いがない。

この映画を観ないで育った子供なんているのだろうか,と思うくらい私は,この映画はディズニーかジブリか,くらいのメジャー映画のような認識でいたのだけれど,実際は全く違った。そこで私はここに言う。この映画を観ずして,ハロウィーンやクリスマスを迎えるべからず,と

この映画は,今はディズニー・チャンネルあたりで観ることができるらしい。家族でぜひぜひ観てほしい映画である。

#パンプキン・キングといえば,コミック「ピーナッツ」で,ライナスが(私はチャーリー・ブラウンだと思い違いをしていた),「かぼちゃ大王」を信じていた,というスヌーピーの場面を思い出すのだけれど,こちらの方も話していた学生は誰も知らなかった...

2023年10月15日日曜日

パリピ孔明で「サヨナラCOLOR」を聞く

 TVドラマ「パリピ孔明」を観ているのだけれど,このジジイの心にいちいち刺さる場面があって面白い。

まぁ,もともと三国志は大好きで,人形劇(NHK)も小説(吉川英治版)も,そして漫画(横山光輝)もしっかり目を通してきたのだけれど,アニメと漫画を読んで「パリピ孔明」の面白さを知り,今期始まったTVドラマは期待通り以上だった。

でも今回はまた劇中で歌われた歌の話。ヒロインの月見英子を演じる上白石萌歌が「サヨナラCOLOR」を歌った。また私はなんの歌だったのか思い出せずにいたのだけれど,サビにはいって,そうだ「サヨナラCOLOR」だと思いだした。私が大好きな歌だ。

私が初めてこの曲を聴いたのはSUPER BUTTER DOGのオリジナルではなくて,ハナレグミが忌野清志郎と一緒にうたっていたバージョン。もう10年以上は前だろう。ラジオで紹介されていてその切なさに耳を傾けた。ひさしぶりにこんなシンプルな曲に心を動かされたと思った。良かったなぁ。もちろん今も良いけど。

今回のTVドラマ版「パリピ孔明」の選曲はちょっと心に刺さる。たぶんその年代の人が演出しているのだろう。

2023年10月14日土曜日

広くなった額を見て,今後のことを思う

 小学生の頃,私の眉毛と前髪の生え際の間はひどく狭かった。昔から額の広い人は賢いと言われていたので,残念ながら私の家族はがっかりしていた。

しかし今はどうだろう。老いのために前髪の生え際はすっかり後退して額は十分に広くなり,前髪も薄く,そして髪の毛も細くなってきてしまった。なんとも仕方ない。

すっかり身体もジジイになり鬢の白髪も目立つようになってきた。筋肉も全然つかなくなった。この後の人生をいかような肉体で暮らせばよいのか。そうしたことに真剣に向き合わなければならないトシになった。

2023年10月9日月曜日

私が髪を短くする理由

 先週床屋に行って髪を短くしてきた。私は結構髪の長さを短くする。横は刈り上げなので,少しイカツイ感じになる。もともと人相も悪いので,ちょっと怖い印象になる。

なぜそこまで髪を短髪にするかというと,もちろん実戦の際に敵に私の髪を掴まれないためである。髪を掴むことは通常の格闘技のルールでは反則になっていて,反則ということは実戦では有効であるということの裏返しである。髪を掴まれるとその手を外すのは結構やっかいで,掴まれた方としてはなかなかのピンチとなる。なので,軍隊やその手の人たちは短髪が多い(それだけが理由ではないけれど)。私もそのために短髪にしている。

それが理由というのはもちろんウソで,本当は床屋代をケチっているからである。短くすれば床屋に通う間隔を長くできるので,年間を通すと散髪代を節約できる。床屋もなかなかの費用だから(とはいえ,美容室で髪を切るより安価だけど),私にとっては大事なことなのである。

そして,頭の横を短く刈るのは最近その部分の白髪が目立つからである。こめかみからもみあげへと目立つ白髪は,杜甫の漢詩「春望」に詠まれるくらい,そう「霜鬢」と呼ばれるくらい老人の象徴であるので,私の老け具合もとりわけきわだつことになる。そのために左右を刈り上げて白髪を短くするのである。

始まりが短髪なため,髪が伸びてくると頭の脇の部分の髪が横に突き出しはじめて,これまた老人の髪形になるのが悩みごとである。これが目立つ前に髪を切ることができればよいのだが,そうはいかないのが財布事情。あぁ,トム・クルーズかダニエル・クレイグの髪形に整えられるのはいつのことだろうか...

いつか白髪を染めなければならない日がくるかもしれない(まぁ,髪が残っていたならば,ということだけれど)。そのとき,どんな髪型が私に似合うのだろう。

2023年10月7日土曜日

原田真二「タイム・トラベル」を「パリピ孔明」で聞く

「パリピ孔明」という作品が面白くて,アニメやマンガを読んでいたのだけれど(マンガは途中まで),今期,TVドラマになるというので第1回目を観てみた。 

私は向井理が好きで彼の清潔さに惹かれているのだけれど,今回は孔明を聡明そうに演じていて期待を裏切らない。コメディなのだけれど,しっかり真面目に演じているところがいい。ヒロインの月見英子を演じるのは上白石萌歌。彼女は歌も上手なので歌手である英子を演じるのはちょうどよい配役と感じた。今後も期待して観てみようと思っている。

で,今回の話題はそのドラマ中で,上白石萌歌演じるEIKOが歌った曲である。聞き始めてすぐに以前どこかで聞いた曲だとわかったのだけれど,それが何で,どんなタイトルだったのか,しばらく思い出せなかった。サビが近づいてきてようやく思い出した。

原田真二の「タイム・トラベル」

だった。私が小学校の高学年くらいだったころだろうか,ピアノを弾きながらカーリーヘア(?)の彼がテレビで歌うのをみたことを覚えている。彼の甘い声はとても特徴的で,かつ彼が作る曲は口ずさみやすくて記憶に残るものだった。とはいっても,私が知っている彼の曲は,この「タイム・トラベル」と「キャンディ」,そしてデビュー曲「てぃーんずぶるーす」の3曲くらいしかないのだけれど。でも,それでもこの3曲だけでも彼が才能に溢れていることが今聞いても十分にわかる。素晴らしいと思う。40年以上前にもこうした才能が日本ポップス界にいたのだとあらためて思う。知らない人はぜひ彼の曲を聞いてほしい。

劇中,EIKOは「Stay with me」(松原みき)も歌っていた。うーん,「タイム・トラベル」と「Stay with me」か。この選曲のセンスはどうしたものか,とは思う。

#このドラマで一番マンガやアニメにそっくりなのは,クラブのオーナーの小林を演じる森山未來であるような気がする。彼はいつもこちらの予想を超えてくる。

2023年10月1日日曜日

ジジイのからだになる

 ホテルに宿泊した際に,大きな鏡に自分の上半身の裸を映した姿を見た。

「あー,ジジイのからだだ」

とため息をついた。身体は老いを隠せない。

筋肉量が減っているのは一目でわかるし,腹もダルマのような洋梨の形がはっきりしている。そしてなによりがっかりしたのは首から僧帽筋,そして鎖骨へとつながる部分の骨骨しさ。肉が落ちて,骨とスジが目立つようになっている。まさに老人の身体だ。

筋肉量は,年を取ってからでも多少なりとはカバーできる。しかし,首筋などの肉(脂肪?)の落ち方はどうしようもない。女性などでも同じだけれど,年をとると首筋が目立つようになってしまう。

私の場合,首筋の肉はみな下腹に落ちてきたようで,ダルマ腹が醜く目立つようになっている。昔の写真をでもそのような体つきの老武道家をみることが多いのだけど,私はそうした体つきになるのが嫌で嫌でしょうがなかったのに...見事になってしまった。悲しい。

首筋だけでなく,手の甲も老いを感じさせる部分である。私の手の甲はまだ肉がついている方だとは思うのだけれど,女性などは如実にそこに老いが現れる。ここも今後どんどんスジばっていくのだろう。

身体のそこらかしこに老いを感じる。スタミナ,力,などは当然だけれど,見た目もどんどん変わっている。かっこよく年をとることって,なんて難しいのだろう...

夢も予定もなく

 世の中はゴールデンウイークGWである。今年は比較的天気も良いようで、これまでコロナ禍で自粛していたレジャーがもう一度賑わいを取り戻せばいいなぁ、と心より思う。やっぱり世間が暗いのは、私のような老人にはつらいものである。 ただGWになったとはいえ、私はなにをするともない。というか...