天使
「新耳袋」を読んでいて,とても怖かった話. (いまでも,思い出すだけでぞっとする) ちゃんとした話は,「新耳袋」を読んでいただくことにして, 簡単に紹介すると, ある女性がふと空を見上げたら, 天使のように美しい女性が笑顔でふわっと舞い降りてきた. あまりに幸福そうな笑顔なので,その女性に向かって 手を振ると,向こうも手を振り返してくれた. ドサッという音が突然して, 足元を見ると女性の死体が. 飛び降り自殺だった. というお話. 本当に怖い...怖い,怖い. 私は,こうしたシーンをついつい思い浮かべてしまう. そしてそのイメージの強さに参ってしまう. 大学時代,「文章工学」という講義をとっていて, その中で実験的な試みとして, 朗読を聞いて,批評文を書くということをやった. 作品は,森鴎外の「高瀬舟」. 兄が弟ののど元に刺さった刃を抜くシーンでは, その朗読に情景がありありと思い浮かんできて, とうとう気持ち悪くなって,トイレに駆け込んだ覚えがある. 私はイメージに弱いらしい. 始めに紹介した話でも, 空から舞い降りてくるという天使のような女性の 顔について想像が止まらない. どのような気持ちだったのか, 実際は,風圧で顔は歪んでいたはずだから, この天使はなにが見えたものなのか. そして自殺の是非について. いろいろと考えていくと本当に怖くなる. シンプルに想像できる話,それが一番怖い.