ガルシア・マルケスが亡くなった
ガルシア・マルケスが少し前に亡くなった.87歳というから,もう十分に生きた,ということなのだと思いたい. 近くの図書館に行くと彼の全集が配架されていて,その本の素敵な装丁もあってついつい手を伸ばしてしまうのだけれど,その本の厚みと現在の自分に許されている読書時間の短さを思うと,やっぱり本をまた元の位置に戻してしまう.いつか,いつか,と思っている作品集のひとつである. それでも比較的短い作品をすでにふたつ読んでいる.「 予告された殺人の記録」と「わが悲しき娼婦たちの思い出」 である . 「予告された...」の方は文庫本になっているので手軽に手にすることができたのだけれど,内容はずいぶん読みづらかった覚えがある.文体が読みづらいというよりも,描かれている内容が暗く,重く,閉鎖的で読み進めるのに気乗りがしなかったからである.この作品では,ある田舎町で何十年か前の予告殺人事件について,その真相を淡々と書き出していくのだ.どのエピソードにも閉塞感があふれていて,気分が晴れるようなことはなかった.読み終わったときの気持ちの重さを思うと,もうしばらくはこの小説とは関わりたくないような気がする. 一方,「わが悲しき娼婦たち...」の方は,90歳の老人が少女に恋する物語で,老いの恋の悲哀がユーモアをもって描かれている. 「満九十歳の誕生日に,うら若い処女を狂ったように愛して,自分の誕生祝いにしようと考えた」 という扇情的な一文から始まっているけれど,内容は悲しくも滑稽な老人の恋の右往左往が描かれていて,こちらの作品はすいすいと短時間で読むことができた.14歳の少女に90歳になって初めて(だったかな?)恋をする主人公がいい.センスがあって魅力的で情けない.ワタシ好みのキャラクターとなっている.内容もそれほど重くない.オススメの一冊である.こちらは文庫本ではなくて新潮社から出ている全集のものを読んだのだけれど,装丁もかなり素敵で内容と合わせ自分の書棚に並べたくなってくる一冊となっている(結局,私の書棚には並んでいないのだけれど) 彼の作品の魅力のひとつに,作品の中にクラシック音楽が,それも渋めの曲がでてくることがある.特に「わが悲しき娼婦たち...」では,バッハの無伴奏チェロやフランクのバイオリンソナタ,ブルックナーの弦楽五重奏などが出てくる.私のこの作品で...