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10月, 2012の投稿を表示しています

勝兵は先ず勝ちて、而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて、而る後に勝を求む

今日,息子と話していて,孫子の話題が出た.息子も「戦わずして勝つ」などと言って,孫子の言葉を知っているような風だったけれど,まだ中学生には孫子は早い.中身を理解できないだろう. 私が孫子を読んだのはいつだったろうか.たぶん高校生で,毎日空手に明け暮れていた頃に違いない.空手は戦って勝つ武術であるけれど,これは兵法から行くと勝ちの下である.兵法から言えば負けるということがあってはならない.したがって,まず 廟算 し,己が勝つことを確かにしてから戦わなければならない.それでもこれは勝ちの中であり,勝ちの上は「戦わずして勝つ」ことになるわけなのだけれど. 「勝兵は先ず勝ちて、而る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて、而る後に勝を求む」 この言葉を初めて知ったとき,これが不敗の戦い方なのかと半分感心し,半分がっかりしたような気がしたのを覚えている.やっぱり正々堂々と戦って勝つことに憧れていたのだろう. しかし,今ではこの言葉の意味がよくわかる.とにかく生き残ること(国も人も)が大事なのだ.勝つことが目的ではない.国や人を全うすることが目的なのである.負ける戦はしないのである.そのためには,廟算の技術を磨かなければならないのだ.そうなると情報戦ということになるのだろう. 武道の目的の一つは,危険を察知することである.瞬時に危険を察知して,それを避けねばならない.一目で相手の技量を見ぬくことも武術の能力であり,これも兵法のひとつなのかもしれない.その能力を身につけるために,人は精進し,経験を積むのだろう. 孫子は素晴らしい書物だと改めて思う.今読んでも,多くのことを学ぶことができる. しかし,やはり息子にはまだ早い. 「兵は詭道なり」 この言葉を理解するためには,もう少し人生の酸いも甘いも知ってもらわなければ.

大学教員は特殊技能の専門家

大学教員は一応「先生」と呼ばれるけれど,道徳者である必要はないと思う.人間的に尊敬される必要さえないかもしれないとも思っている(もちろん,人間的に素晴らしい先生方もたくさんいらっしゃいますが).私は大学教員は一般的な「先生」というよりも, 特殊技能の専門家に近い と思っている.すなわち,大工や左官屋,シェフ,板前,アスリート,そういった職業に近い気がするのである. もしも尊敬されるとするならば,まずはその技能によってされたいと思う.その分野の知識とアイデア,技能のプロフェッショナルでありたいと思っている.そこで, カール・ゴッチの言葉 を思い出す .私はそのプロフェッショナルとして,なにを磨くべきなのか.それを明確に目的に定めて毎日精進していきたいと思っているのである. しかし一方で, 大学の教員にとっては社会への啓蒙活動もその仕事のひとつ である.研究と教育だけが仕事ではない.大学という機関は,社会に対しても情報を発信していかなければならないと思う. 10月3日に,大阪大学が一般の方々向けに開いている公開講座の講師を務めさせていただいた.その際は,電気工学を専門としている学生向けの講義ではなく,専門知識に疎い方々へわかりやすい講義を行うように,一応は努力したつもりである.これも仕事なのだ.だからその技能を磨く必要がある.そう思ってやっている.でも,こうした機会はこれまでほとんどなかったので,こちらもたいへん楽しませていただいた.なぜならわかってもらえるのはやっぱり嬉しいものなのである.また機会があれば,ぜひお受けしたいと思っている. 啓蒙活動も仕事の一環であるというのは,少し特別かもしれないけれど,やはり大学教員は,特殊技能の専門家なのだと思うのである.そう思うと, 「神は細部に宿る」という言葉 なども,身近に感じられてくる.

メン・イン・ブラック3,ハンガーゲーム,スノーホワイト,ジョン・カーター映画評

忘れないうちに,1ヶ月前のアメリカ出張の復路の機内で寝ずに観た映画4本の感想を. 1.MEN IN BLACK 3 もう期待通りのばかばかしさ.ずいぶんと楽しむことができた.特筆すべきは,Tommy Lee Jonesの若い頃を演じたJosh Brolin.全く違和感を感じなかった.若い頃のエージェントKは,もう少し話がわかって,笑いもする男だったという設定で,Joshはそれをうまく演じている.話の中身は前2作同様ほとんど無いけれど,本作のくだらなさは際立っている(もちろんいい意味で).特に1960年代にタイムジャンプしたエージェントJが遭遇するAndy Warholのパーティーのくだりなどは,笑いが止まらなかった.ただ笑い続けた1時間40分くらいというところ. 採点は星3つ★★ ★ ☆☆ 2.HUNGER GAME アメリカでしばらくトップの興行成績を維持していたということで観てみることに.アメリカ版バトルロイヤルとの話だったけれど,もともと殺し合いの映画は嫌いだし,もちろんバトルロイヤルも観たことがない.世界の平和のために,世界の各地区から若い男女が集められて,殺し合いのゲームをする.それを世界の人々が娯楽のために視聴するという設定.そうすることによって,世界の平和が保たれるのだとか.集められた若い男女は醜く殺し合いを始めるのだけれど,例によって主人公の女の子は悪いことはしない.汚い手で自分を殺しにきた奴らだけを仕方なく倒していく,ということになる.主人公のJennifer Lawrenceはこの映画でブレークして,今や人気女優の一人だとのことだけれど,私はあまり魅力を感じなかった.綺麗でもないし,かわいくもない.むっつりとした表情だけが印象に残る.アメリカではこうした女優がウケルのかな... 話も薄っぺらい印象.ゲームを観ていた人たちが主人公の活躍によって,暴動を起こしたりするのだけれど,それはそれで終わり.どうも不完全燃焼だった... しかし,Woody Harrelsonは最高!私は彼のファンなのだ.彼は過去のゲームの勝者で,主人公にアドバイスをするために雇われているのだけれど,最初は酒に入り浸っていたりして,ダメダメ感が本当に素敵.それも金髪の長髪で,かっこいいのである.もうため息がでるほど.ZOMBIE LAND,NO COUNT...

「きっかけ」と「原因」は区別しよう

最近,「 きっかけ」と「原因」を混同する 状況を見たので,今回はそれは異なるものなのだという話. ある「きっかけ」によって問題が顕在化し,物事が悪い展開になったとしても,「きっかけ」は「きっかけ」でしかないことを理解すべきである. そこに問題はあらかじめ内包されていた,すなわち原因はもとから存在していたことを受け入れなければならない. それを区別することができず,「きっかけ」となった物事を原因として悪者扱いしても,本質的な解決にはならないのである. わかりにくいので,例え話を少し. あるところに荷物を運ぶロバがいて,そのロバは限界ギリギリの重い荷物を主人に運ばされてふらふらと道を歩いていた.そこに,通りすがりの人がワラを一本,ロバの荷物の上にポイッと放り投げた.するとロバはそのタイミングでついに重さに耐えきれず,倒れて動けなくなってしまった.ロバの主人はワラを投げた道行く人を激しく非難したという. これは,ロジカルシンキングなどのセミナーで紹介されるような基本的な例題で,実際私もそうした場で聞いた話である.ワラはきっかけに過ぎないのに,そのワラを原因のように思っては本質的な問題(この場合はロバへの重荷)の解決には至らないということである.こうして例え話にされるとわかりやすいが,現実の世界ではそれを区別できずに原因を他に求めて人を非難するということが多々見受けられるのだ. 本当に必要なのは,問題が顕在化する前に(ロバが倒れる前に)悲劇的な結果を予見し,その内在している原因を解決して(荷物を減らすなど),事を未然に防ぐことなのである. まぁ,それができたら誰も苦労はしないのだろうけれど.

アベンジャーズ,テルマエ,シャーロックホームズ,バトルシップ映画評

ずいぶん久しぶりのブログの更新です.アメリカ出張から帰ってきてどうも忙しく,ブログに書きたいことはたくさんあったのですが,書く機会を逃してしまいました.そして今日のように書く時間ができたとしても,なんとなくモチベーションが下がってしまって,なかなかペンが進まないという感じです... ということで,今回は頭を空っぽにして,いつもの出張の機内で観た映画評ということにしたいと思います. アメリカ,ノースカロライナ州ローリー市への出張では,片道16時間以上機上の人だったわけで,特に関西空港-サンフランシスコのフライトは,9時間以上のものだったから,映画はたっぷりと観ることができた.その上,ユナイテッド航空のB777(だったかな)でオンデマンドで映画がみられるものだから,往路では4本,復路では5本,合計9本も映画を観た.ほとんど寝ずに観たものだから,今回は時差に悩まされることが少なかったという副作用もあった.まぁ,一年でこのときしか映画は観ないのだから仕方ない. さてさて,早速往路で観た映画4本の感想を. 1."Avengers" 話題作で頭を使わずに済みそうなので,まずはこれを鑑賞.事前に観たことがあるのは,アイアンマン1だけだったけれど. 内容は本当に単純.しかし,それぞれのヒーロー,ヒロインに活躍の場が用意されていて,それなりに楽しめた.私のお気に入りは,「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワース.なんかいい感じなんだなぁ.性格が単純直情型で,それでいて神.憎めないやつなのだ. 次は,なんといってもスカーレット・ヨハンソン.美人なのはわかるけれど,全然私の趣味じゃない(どうでもいい話だけど).しかし,たいへん魅力的なヒロインなのだ.まるでお人形さんみたいなのだけど,ときどき毒を吐く.それでいて性格がつかめない謎のスパイを素敵に演じていた.彼女の良さを知った感じがする.そして,キャプテン・アメリカ.やっぱりいかにもアメリカという感じ.アメリカが求める健全なヒーローだったなぁ. とはいえ,このシリーズでは,アイアンマンがなんといっても主役なのだ.先日アイアンマン2もテレビ放映でみたのだけれど,ロバート・ダウニー・Jrの魅力が他の出演者とくらべ群を抜いている.彼がいなければ,この映画は成立していないのは明らかだ. しかし,...