二つ目は,おさき地蔵。諸国巡礼をしていた「おさき」という女性が,新潟のある村に来た際に行倒れになったのだそう。それを村の人たちが介抱してあげて,おさきは再び元気を取り戻しまた巡礼に出かけたとのこと。数年後,おさきがその村に戻ってくると,村は川の堤防工事をしていたのだけれど,最後に堤防を閉じることができず困っていた。その状況を知ったおさきは村から受けた恩を返すために自ら人柱となったらしい。その後川から遺体があがって供養されたのが,おさき地蔵なのだとか。
私は講演を聴いていて,この話がもっとも怖かった。おさきが人柱となったのは本心からなのだろうか?そこには村人たちからの「同調圧力」的なものは存在しなかったのだろうか?
もしも,「過去に一度命を助けてやった。今度は恩返しをすべきだ」という村人たちの無言の(あるいは有言の)プレッシャーがあって,おさきは村から逃げるに逃げれず人柱となったということであったら,なんと怖い話であろう。。。幽霊や妖怪が出てくる怪談よりもずっと背筋が凍る話である。私はそのときのおさきの心情を思うと怖くて怖くて仕方がないのである。
ただし,おさき地蔵は事情を知る村の方々のご努力によって維持されているとのこと。今回の私の記事はその方々のご先祖に失礼にあたる話となるので,あくまでもその可能性がなきにしもあらず,という私の想像ということでご容赦願いたい。