2023年2月18日土曜日

私はマスタングがいい

 テレビの生放送で「さらば青春の光」の森田哲矢が,白の初代レンジローバーを658万円で購入したとのニュース。これはたしかにカッコいい車。ボディは四角く,ライトは丸い。白いベースに黒のボディラインとタイヤ,そしてオレンジのランプ。色の取り合わせも最高。彼はずっと欲しかったのだという。この価格の自動車を即決で購入できる財力がうらやましい。私には一生できない買い物である。

車の運転が趣味というわけではないけれど,私にも欲しい車はいくつかある。

まずは,映画「ブリット」で惚れたマスタング ファストバック 1968年式。サンフランシスコの坂の多い市街で,ダッジ・チャージャーと繰り広げられるカーチェイスシーンを観たときに(画面に少し酔ったけど),そのカッコよさにしびれたのである。スティーブ・マックイーンの渋さとあの深緑色のボディがまたあっているのだ。何年か前に,「ブリット」の名前を冠したマスタングの新モデルが出たけれど,やっぱり昔の丸いライトがいい。

そして,マスタングのクラシックモデルは映画「ジョン・ウィック」でも活躍している。これは1969年式らしい。車体はボロボロになってしまうのだけれど,やはり深緑色のボディがカッコいい。マックイーンもカーレーサーだったから運転テクニックはすごかったけれど(マックイーンは映画では多くの部分をスタントマンに任せたらしいけど),キアヌもすばらしいドラテクを映画の中でいくつか自分で披露している。私にパワステがないあの頃のマニュアル車を運転できる自信はないけれど,やっぱり車の姿がカッコいいのだ。いつかタイヤを鳴らして乗りたいものである…

私も,トヨタの豊田章男前社長ではないけれど,ガソリンを垂れ流して走るような車が好きなのである。この日本で車を楽しむとしたら,信号から信号への加速だけだ。ならば巨大な馬力のアメ車なのである。そして,やっぱりマックイーンが乗ったクラシックなマスタングがいい。



#もっとおじいさんになったら,「ピンク・キャデラック」。これはC.イーストウッドだ。そしてその前に,「濱マイク」のナッシュ メトロポリタンに乗るのもいい。「The Batman」の黒のシボレーコルベットスティングレーのクラシックも素敵だ。

2023年2月11日土曜日

機械翻訳が間違うような日本語の文章を書いてはいけない

 学生たちが英語の文章を読んだり書いたりする必要がある場合,最近では「DeepL」という翻訳ソフトを使っていることが多い。私も多用しているけれど,だいぶ自然な文章に日本語も英語も翻訳できるようになってきているのを実感する。これは5年前くらいとは大違いで,技術の進歩にたいへん感心している。

しかし,翻訳ソフトにすべてお任せでいいかといえば,もちろんそんなことはなく,自らの英語力も必須である。DeepLだって完璧ではなく,学生が書いてきた(実際は機械翻訳を用いた)英文をみると,たとえば主語と述語が反対であったり,目的語が違っていたり,修飾語の対象が違っていたりと,いろいろとおかしな箇所があったりする。

少なくとも,(元の和文)→(英文)に翻訳したら,さらに(翻訳した英文)→(和文)に翻訳し直して,その和文が意図通りに書けているかをチェックすべきであるけれど,こうしたミスを犯す学生は英文自体をチェックする能力がもともと足りていないのだ。そして,もっというと日本語の作文能力に不足している。

もう数十年以上も前に科学技術文章の書き方(アカデミック・ライティングという)について書かれた新書の「仕事文の書き方」だったか,「理科系の作文技術」だったかに(どちらも名著であるので理系学生は必読!),「機械翻訳ができない文章を書いてはいけない」と書いてあった覚えがある。学生時代に読んだときは,そんなものかとボンヤリ考えただけだったけれど,現在,その必要性・重要性は明らかである。DeepLが間違った翻訳をするのであれば,それはあなたが書いた元の文章の精度が悪いのだ。

理科系の文章では,主語述語と目的語の関係,修飾する語と修飾される語の関係が明瞭でなければならない。また冗長な文章を書いてはならない。必要最小限な情報で,十分に意図を伝えられる文章を書かなければならない。チャーチルもアインシュタインもそんな言葉を残していたと思うし,そもそも「オッカムの剃刀」なんて言葉も,説明の(仮定の)冗長さを戒める類のものである。寺田寅彦,朝永振一郎などの科学者に名文家が多いのもそういう理由なのだろう。

修士論文,卒業論文の添削を行うこの時期に,感想文であるような卒論,あるいは説明不足な修論などを読むたびにあらためてそう思うのである。

#海外ではAcademic Writingに関する授業が大学にあると聞くけれど,日本では少ないようである(少なくとも私は受けてこなかった)。大学1年生くらいでぜひ学んで欲しいと思う。

もちろん,以上の文章は自分のことを棚に上げて話している。乞うご容赦。

2023年2月4日土曜日

濱マイク:監督,役者に注目する

 「俺の名前は,濱マイク,本名だ。俺は俺の生まれ育ったこの街、横浜・黄金町で私立探偵をやっている。なんか困った事があったらいつでも来なよ」

これは映画版のマイクの決まりゼリフ。TV版は横浜黄金町とはされていないようで,「黄金町」まわりのセリフは省かれている。濱マイクの設定はTV版の各エピソードで共通してそれなりに守られているようだけれど,各話は別々の人が監督しているので,ホラーっぽかったり,SFっぽかったり,そしてハードボイルドぽかったり,そのテイストは本当にバラバラだった。

(ちなみに映画版で探偵事務所があった横浜黄金町の横浜日劇は実在していたけれど,今は取り壊されてもうない。当時(大学時代),研究室の女子学生がわざわざ日劇に行ってきたと話していたのを覚えている。今でいう聖地巡礼?)

どのエピソードも語りたいことがあるけれど,少しだけ紹介すると。。。

私がまず好きなのは第2話の「歌姫」。歌姫役はUAが演じている。結局よくわからないし,終わり方も中途で,逆にそれが印象深い。第3話の「どこまでも遠くへ」も武田真治が女を騙すクズな男を演じていていい感じ。岸田今日子演じるサリー(メリーさん?)もいいし,ピエール瀧も一瞬出ている。切ないのは,第4話の「サクラサクヒ」。青山真治監督の作品で,岸部一徳と南果歩がすごくいい演技をしている。また同じく切ないのはSFチックな第8話「時よとまれ、君は美しい」。荒唐無稽な設定なのだけれど,幼なじみとの初恋も絡んで苦い青春が描かれている。石井聰亙監督。ハードボイルドなのが第10話「1分間700円」。柄本明と浅野忠信の演技がこちらの胸を苦しくさせる。そして最終話「ビターズエンド」。SIONの染まっていない演技が素晴らしい。

書いてみるととまらない。監督も,情報屋の小泉今日子のエピソードとなる第7話「私生活」では岩松了で,本人もホテルの従業員として出演している。そういえば,青山真治監督の第6話「名前のない森」では,樋口真嗣が連続殺傷事件を起こす怪しい人として出演している。最終話の監督は利重剛だし,そもそも金貸し役で出演している山本政志も監督業もしている。とにかくその時代のクリエイティブな人たちが総力を上げて作ったシリーズなのだ。

出演している役者も今見るとみんな若い。中島美嘉,市川実日子,井川遥,阿部サダヲ,松田美由紀,村上淳(そういえばUAと結婚したんだっけ),松岡俊介という主要メンバーだけでなく,ちょい役で,香川照之,窪塚洋介,瑛太,津田寛治,菊地凛子,田中哲司,北村有起哉,田中要次,眞島秀和,桐谷健太など,思いつくだけで現在活躍している俳優がゴロゴロと出演している。若かりし頃の彼らがどこに出ているかを見つけるだけでも楽しい。

今,TVシリーズ(2002年)を見ると,あの頃からずいぶんと時間が経っていることを,あらためて思い知らされる。出ている俳優たちもみな年をとった。そして私も当然年をとった。あのころ何を思っていたのかは,もう思い出せない。


ネットの書き込みは年寄りばかり

SNSというのは大変面白い。たとえば、テレビでは番組に対する視聴者の反応がわからなかったものが、今ではコメントが書き込まれることによって反応をいくぶん知ることができる。あるいはXなどへの書き込みによって、リアルタイムで感想がタイムラインにあふれることになる。そうした双方向性、即時...