2023年5月27日土曜日

IMEの変換予測がやばい

 昔は自分の本棚を人に見せるのがためらわれたものである。それは並んでいる本のタイトルに自分の嗜好が現れているからである。

最近は,Googleの検索履歴が人に見せられない。これは自分の興味が「今」どこにあるかを表しているから,人には見せられない。正直,カタイ言葉ばかりを検索しているわけではない。

Youtubeの動画の視聴履歴は特にまずい。私が怪しい動画を見ているのがバレバレになる。エッチな動画とかならば笑い話になるけれど(そもそもYoutubeはそういった動画はないけれど),私の嗜好そして人格を疑うような内容だと困る(内容は内緒)。その上,通知を許可したりしていると,講義中でも私の嗜好に沿ったオススメ動画が画面の端に現れてしまったりして見ている学生たちはドン引きである。

そして,IMEの変換予測もかなりやばい。最近それが特に気になる。私はよくミス・タイプするのだけれど,以下のような誤変換がよく行われている。

「お願いいたします」>>「お願い遺体sます」
「資料を送ります」>> 「死霊を送ります」

特に二番目の文章なんて,相手に呪いをかけていることに他ならないではないか...

私がどんな文章をいつも書いているのか,推測されてしまう。こんな感じで誤変換されるたびに苦笑している。誤変換のネタはよく見聞きするけれど,私の言語空間はオカルトがいっぱいのようだ。私の嗜好が現れていて,とても人には見せられない。

2023年5月21日日曜日

エンド・オブ・デイズ:今度のシュワルツネッガーの相手はサタン

 「エンド・オブ・デイズ」鑑賞。シュワルツネッガーが主演。1999年の世紀末,ミレニアムの終了とともにサタンが復活し,選ばれた人間の女性と子供をつくることによって,この世界の滅亡を図ろうとしている。それを元刑事のシュワルツネッガーが阻止できるか?という話。

1999年ってこんな感じだったっけと思いながら観ていた。PCによる検索もスマホも活躍しない。その中でたまたま悪魔の男を知り,選ばれた女性を知った元刑事が,女性を守り抜こうとするのだけれど,どうもストーリーが消化不良。

まずは,シュワルツネッガーの対決相手が,それまでの悪の組織,軍隊,エイリアン(プレデター)から,とうとうサタンにアップグレードされただけという感じ。悪魔だからもっとダークホラー的な雰囲気を期待したかったのだけれど(例えば,キアヌ・リーブスの「コンスタンティン」のような),普通の人間と戦うのとそんな変わりがなかった(悪魔の男は何度も生き返るけれど)。あるいは目的がサタンの子作りだからもっと大人向けの内容にするとか。

最終的には,シュワちゃんの自己犠牲によって,過去の悲しい出来事を持つシュワちゃんも,守ろうとしていた女性も救われるのだけれど,そのストーリー展開はあまりにも安直なような気がした。主人公が女性と同じ幻覚を見た理由も明らかにされていなかったし,女性が持っているオルゴール(?)が主人公の娘と同じものだった理由もわからないままであった。うーん,内容が少し薄いかな...

本作の良いところは,まず最初のヘリコプターを用いたアクションシーン。かっこいいんだか,間抜けなんだか,よくわからない。ただ大変なアクションだったと思う。そして次に爆発シーンが多いところ。ニューヨークの街のあちこちで爆発事故が起こる。店や車や電車だけでない,教会も吹き飛ぶ。CGで炎がそれほど不自然ではなく描けるようになったころなのかな。とにかく火炎が画面を覆う。

ということで,正直,ちょっと期待外れ。評価は星2点★★☆☆☆(5点が満点)。私はもっとドロドロとしたダークホラーが観たいのだ。

2023年5月20日土曜日

芸術作品に民主主義は要らない

 「シン・仮面ライダー」を観て,芸術作品には民主主義は要らないのだと思った。正確に言うと,そう思ったきっかけは映画本作ではなくNHKの庵野監督のドキュメンタリーなのだけれど。

天才の発想は,初め多くの人の賛同を得られにくいものである。今回の庵野監督の映画の指示には,スタッフは明らかに不信感を持ったり,その指示に戸惑っていたことがドキュメンタリーから読み取れた。確かに,スタッフに的確な指示を出せない監督ってどうなのだろう,と疑問は持つけれど,天才の感覚は他の人に伝えることが難しいということも事実なのだろう。周囲の人は,ただ庵野監督の才能だけを信じてついていっていたように見えた。

スティーブ・ジョブズだってそうだったという。Appleの製品では彼は妥協をしなかったのだといわれている。会議の出席者が反感を持ったとしても自分の意見(ワガママ)を通したということだ。彼が説得をはじめると皆その話に巻き込まれてしまったらしい。これは現実歪曲空間(Reality Distortion Field, RDF)として知られている。彼のカリスマ的な魅力によって,非現実が現実化できるような気分にさせられてしまうのだ。

優れた指導者はみな,周囲の人たちを惹きつけるそうした能力を持っているものだろう。一般に,才能ある人物の発想は常識的には理解されにくいものだが,それでもその発想を実現化するために周囲の人に動いてもらわなければならないからだ。どんなに優れたアイデアであっても現実化されなければそれは単なる夢想である。

そこで大切な役割を果たすのが追従者(フォロワー)である。特に最初の追従者。このフォロワーが天才の発想の価値を認め,それを実現することに協力しなければ,その素晴らしいアイデアは夢話で終わってしまうに違いない。だからこそ,天才の価値を認め,協力するフォロワーも同等に重要なのである(鳩山元首相の「裸踊りをさせてくれてどうもありがとう」発言もその文脈だと言われている)。

反対にすべてが民主主義的に多数決,あるいは中間(中庸)の意見や感覚によって決まるとしたら,世界はなんてつまらないものになるだろうと恐怖する(現実はそうなりつつあるけれど)。優れた芸術作品や技術の飛躍的な新しい発想は民主主義からは決して生まれないのではないだろうか。これらにはひとりの天才,あるいは独裁者が必要なのだ。

クラシック音楽の世界で,オルフェス管弦楽団は指揮者を持たず,楽団員の話し合いで音楽を決定していくことで有名だった(現在はどうなのだろう?)。残念ながら録音を聴く限り私はあまり好きではない音楽を演奏していた。やはりぶっ飛んだ指揮者の演奏が聴いていて楽しくて感動する。

芸術や新しい技術の発想には民主主義は要らない。私は天才でもファーストフォロワーでもないが,せめて天才の発想の実現の足をひっぱらないようには生きていきたいと思っている。

2023年5月13日土曜日

シン・仮面ライダー

「シン・仮面ライダー」はほんとに良かった。演出・脚本は庵野"節"全開だったけれど,キャストは素晴らしかった。

まず作品。これまでの「シン・ゴジラ」,「シン・ウルトラマン」はどちらかというとテーマがドライで人情的な湿っぽさはなかった。しかし今回は仮面ライダーということで,もともとの作品テーマである「改造人間であることの悲しみ」や「人間の絶望」,「人との別れ」などが描かれていて,ちょっと胸が痛くなるようなシーンがいくつかあった。いうなれば「シン・エヴァンゲリオン」に近いのかもしれない。

「シン・エヴァンゲリオン」との親近性といえば,作品に出てくる「ハビタット計画」というのは,魂(プラーナ?)だけが存在する世界に人類を移行させるというもので,これは「エヴァ」の「人類補完計画」を思わせるし,主人公 本郷猛の優しさ,弱さは碇シンジの性格に,緑川ルリ子のクールさは綾波レイの性格に,重ね合わせることができるかもしれない。つまり,「シン・ライダー」は「シン・ゴジ」や「シン・マン」に比べてずっと庵野監督のパーソナリティが反映された作品なのだろう。

アクション演出については,NHKのドキュメンタリーもあっていろいろと意見が分かれるというのは十分理解できるけれど,私は十分堪能した。最初のクモオーグ戦でショッカー戦闘員を血フブキを浴びながら倒していくところは,オリジナルの第1話を思いださせるし,私もワイヤーアクションには違和感を感じる方なので,今回くらいの戦闘アクションがちょうどよかった。仮面ライダーにマーベル風の戦闘は似合わないと思う。むしろもっとオリジナルに近いオドロオドロした「怪奇」的なシーンが欲しかった。

作品にはいろいろ意見があるのは理解できるのだけれど,キャストの良さは多くの人が認めるところだろうと思う。まずは,主人公の池松壮亮。暴力に悩む弱さとそれを乗り越える賢明さ,そして誠実さを感じさせる本郷猛であった。アクションもほぼ自分で行っているとのことで(最初の作品発表のときには足を怪我して出てきたのを覚えている),今回の本郷猛を手探りで追い求めていったことがよくわかった。

次に,浜辺美波。彼女が演じる緑川ルリ子がいなければ,この映画の魅力は半減しただろう。それほどに,かっこよく,かわいい。彼女はいつもクールに「用意周到」なのだけれど,ところどころおかしい行動をして,それが可愛い。例えば,敵にに襲われたときもすぐには敵に対応せず,本郷猛が淹れたコーヒー(?)を飲み続けるところや,コウモリオーグ(だったかな)のときには,「ところがギッチョン」なんて古めかしいオヤジギャグが入るところなんて,そのギャップに萌える。強い女性は魅力的なのだ。

柄本佑が演じる一文字隼人は,とにかくカッコいい役だった。孤独を愛する好青年を演じていて,この映画の清涼剤となっている。彼がいなければこの映画はもっと暗く,陰鬱としたものになっていただろう。彼の爽やかさがこの映画を(そして本郷猛と緑川ルリ子を)救っている。私は,このかっこよさになぜか「グッド・ウィル・ハンティング」のベン・アフレックを思い出した。

そして思いの外良かったのが,ハチオーグ役の西野七瀬。彼女は期待以上の素敵な悪役ぶりで,正直見直した(すみません)。殺陣も素晴らしく,今後もこうした役をやってほしい...

キャストはみな素晴らしく,満足だった。そしてサイクロンを始めとするバイクもすべてかっこよかった。この映画を見て「バイク乗り」に憧れる人も少なくないのではないだろうか。一文字隼人の「バイクはいい。孤独を楽しめる。だから好きだ」(うろ覚え)のセリフが心に残る。

正直にいって,この映画はそんなに観客が入らないと思う。しかし,続編があるならぜひ観たい。今は評価が低くとも,将来再評価される作品だと思う。どうか東映が赤字にならず,庵野監督に次作の依頼ができますようにと祈るばかりである。

#GWにようやく観ることができた。上映が終わる前に間に合ってよかった。地元ではアカデミー賞受賞作の「エブエブ」があっという間にレイトショーだけになってしまい,とうとう見逃してしまったのだ

2023年5月3日水曜日

ソフィア・ブテラ

 ソフィア・ブテラは映画「アトミック・ブロンド」にも出演していた女優。アルジェリア系の美しい女性である。

彼女に私が初めて注目したのは,「キングスマン」での悪役である。足先に刃物とつけて,次々と人を殺していく女殺し屋ガゼルだった。その身体能力がたいへん高いことは,その映画からも窺うことはできていたけれど,彼女の背景はあまり良く知らなかった。

彼女がダンサーだと気づいたのは,マドンナの「Hung Up」のMVである。この曲は,アバの曲のサンプリングが使われていて耳に残る。私も大好きな曲である。そのなかで,ほんの少しだけれど,彼女が出ている。まるでエクソシストの映画のように逆ブリッジで歩いていた。それが彼女だと気づくのにはかなり時間がかかった。

しかし,マドンナのツアーの動画をみると,確かに彼女がマドンナのバックダンサーとして同様のダンスパフォーマンスをしていることがわかる。彼女はダンサー出身だったのだ。身体が動くのはそういうことだったのだ。

彼女は,「キングスマン」のあと,トム・クルーズ主演の「ザ・マミー」でも悪の女王として出演している。準主役をはれるメジャーな俳優になった。彼女は悲劇のヒロインというよりも,悪の女殺し屋みたいな役が似合っている気がする。今後もセクシーで冷血な悪党の役に期待したい。

夢も予定もなく

 世の中はゴールデンウイークGWである。今年は比較的天気も良いようで、これまでコロナ禍で自粛していたレジャーがもう一度賑わいを取り戻せばいいなぁ、と心より思う。やっぱり世間が暗いのは、私のような老人にはつらいものである。 ただGWになったとはいえ、私はなにをするともない。というか...