リバイバル上映をしている映画「Love Letter」を,シネスイッチ銀座で観たという話を書いた。しかし,文章を書いているうちに,その記憶が本当のものなのか,偽りのものなのか,自信が持てなくなってきた。
調べてみると「Love Letter」のシネスイッチ銀座での上映期間は,1995年3月24日~1995年6月29日らしい(なんてロングラン!)。
1995年は私が博士後期課程を修了した年である。1995年3月に大学を卒業しているから,3月24日はすでに卒業式を終えているはずである。4月に備えて引っ越し準備に忙しかったに違いない。そんな時期に映画を観に行く余裕が私にあっただろうか。相当に疑わしい。
しかし,映画館で確かに観た記憶があるし,中山美穂のポスターを見てため息をついた覚えもある。でも1995年の3月下旬に本当にシネスイッチ銀座に足を運んだのだろうか。
偽りの記憶かもしれない。あれから30年,今の自分の記憶がこの長い間に影響をうけていつのまにか作られた可能性も捨てきれない。えてして人間の記憶なんて容易に変更されるし,捏造されるものなのだ。そして私もこの年齢になって自分の記憶の確かさに全く自信が持てない。
でもそれはそれでいいのではないかとも思う。こうして自分の気持ちが幸せになるのであれば,捏造された記憶があってもよいのではないだろうか。つらい記憶よりも,こうした幸せな記憶の方が毎日を生活していくためにずっと必要なのだし。
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