2011年7月20日水曜日

「勿嘗糟粕」

しばらく仕事,私事ともに忙しくて,
なかなかブログの記事がかけなかった.
いろいろと考えは浮かぶのだけれど,
それを書き留めておく時間が無い.
もう少しメモを充実させようと思う.

昨晩,考えたのは,ある研究分野,
あるいは産業分野の成熟ということ.

ある分野が切り拓かれはじめたとき,
そこに乗り込んでいく人は勇気ある開拓者,
フロンティアである.
そして彼らは,なんでもかんでも自分自身の手で
準備しなければならない人々である.

しかし,そのようになにもかもを知らなければ
ならないからこそ,素晴らしい発明や革新を
彼らは成し遂げることができたのではないかと
思うのである.
専門家ではない,横断的な知識と技術を
もっていたからこそ,そうした偉業を
成し遂げることができたのだ.

フロンティアには伝説の英雄がいる.
たとえばパワーエレクトロニクスという分野にも
そうした人たちがいた.
彼らは素子を作り,またそれをうまく動かすための
駆動回路も工夫し,そしてもちろんそれらを
活用するための回路も研究した.
それらはすべて一連の知識と技術の中で
進められるべき,研究と開発であった.

しかし,時は流れ,その研究分野,あるいは
産業分野は成熟していく.
そこで起こるのは,分業化であり,階層化である.

研究する対象は,徐々に専門化が進み,
それだけをテーマとする研究者が増えていく.
(逆に言えば,それだけをテーマにしても
やっていけるようになる)
素子は素子屋が作り,
駆動回路はその専門家が検討し,
主回路は主回路で,直流変換回路,インバータ,
整流回路と細分化して,それぞれに研究者がいる.
そうしなければ,深く研究を進めることができなく
なるのだろう.
しかし,その反面,研究は重箱の隅をつついたような
些末なものに分化していってしまう.
フロンティアがもっていたような
分野を網羅するような大きなビジョンをもつことは
難しくなっていく.
それとともに野望もしぼんでいく...

現在は,そうした成熟した分野が数多くある.
そうした分野では,研究だけでなく産業も分業化し,
結局はニッチなところで棲み分けていくような状況に
陥っているような気がする.

それはある意味,仕方がないと思うが,
それでは研究者,技術者は面白くない.
私たちに必要なのは,未開の分野なのである.
私たちがフロンティアとなれる未踏の領域なのである.
冒険者として大いに活躍してみたいと思うのである.

現在,大阪大学学長室に掲げられている額には,


「勿嘗糟粕」
(糟粕を嘗むる勿かれ)


という初代総長 長岡半太郎の言葉があるという.
これは酒を搾り取ったあとの残りカスである糟粕を嘗めるな.
すなわち他人が切り拓いた研究で食べていくのではなく,
新たな分野を切り拓いていけ,との意味である.

まさに,私の思うところであったわけであるけれど,
ではどうするか,というと...
まぁ,毎日悩んでいるわけなのである.

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