2012年10月15日月曜日

「きっかけ」と「原因」は区別しよう

最近,「きっかけ」と「原因」を混同する状況を見たので,今回はそれは異なるものなのだという話.

ある「きっかけ」によって問題が顕在化し,物事が悪い展開になったとしても,「きっかけ」は「きっかけ」でしかないことを理解すべきである.そこに問題はあらかじめ内包されていた,すなわち原因はもとから存在していたことを受け入れなければならない.それを区別することができず,「きっかけ」となった物事を原因として悪者扱いしても,本質的な解決にはならないのである.

わかりにくいので,例え話を少し.

あるところに荷物を運ぶロバがいて,そのロバは限界ギリギリの重い荷物を主人に運ばされてふらふらと道を歩いていた.そこに,通りすがりの人がワラを一本,ロバの荷物の上にポイッと放り投げた.するとロバはそのタイミングでついに重さに耐えきれず,倒れて動けなくなってしまった.ロバの主人はワラを投げた道行く人を激しく非難したという.

これは,ロジカルシンキングなどのセミナーで紹介されるような基本的な例題で,実際私もそうした場で聞いた話である.ワラはきっかけに過ぎないのに,そのワラを原因のように思っては本質的な問題(この場合はロバへの重荷)の解決には至らないということである.こうして例え話にされるとわかりやすいが,現実の世界ではそれを区別できずに原因を他に求めて人を非難するということが多々見受けられるのだ.

本当に必要なのは,問題が顕在化する前に(ロバが倒れる前に)悲劇的な結果を予見し,その内在している原因を解決して(荷物を減らすなど),事を未然に防ぐことなのである.

まぁ,それができたら誰も苦労はしないのだろうけれど.

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