2015年5月9日土曜日

春の歌を思い出す

今日は娘の授業参観があって,見学した授業は国語だったのだけれど,そこでは「春」に関する詩,歌を生徒たちが暗記して,みんなの前で発表するというようなことが行われていた.

ひとつめの詩は草野心平の「春の歌」.繰り返される「ケルルン クック。」という言葉が特徴的で,生徒たちにとっては暗記しやすかったようだ.私も詩の言葉は定かではないけれど,やはり「ケルルン クック。」は耳に残ってしまって,草野心平の詩だとすぐに覚えてしまった.いい詩だなと素直に思う.

次は,短歌で百人一首から二首.

春過ぎて 夏来たるらし 白妙の衣干したり 天の香具山 (持統天皇)

人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける (紀貫之)

そして最後は在原業平の歌.

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし (在原業平)

この歌三首には,生徒たちも苦戦していたようで,なかなかスラスラと暗唱できる人は少なかった.

実は私も歌は覚えていたけれど,誰の歌かはすっかり忘れていた.こう見えても高校時代,百人一首のクラス選抜に選ばれるくらい一応歌は覚えたのだけど(その頃は全然百人一首なんて流行っていなかったし...でも,今はすっかり「決まり字」なんて忘れてしまった),今では誰が詠んだのか全く覚えていない.今日も「人はいさ...」の歌が在原業平のものだと思っていたくらいである.子供たちにも全然自慢できない.

しかし,若いころに覚えた歌というのはいいものだ.こんなオジサンになってもまだ忘れず,春になればこうして桜や新緑をみて素敵な気持ちに変えてくれる.一生懸命覚えている中学生にはそんな余裕は無いのだろうけど...



#私は,持統天皇の歌は百人一首で覚えたので以下の通りだった.どうも万葉集に採録されているものは上記のものらしい.

春過ぎて 夏来にけらし 白妙の衣干してふ 天の香具山


##先日,テレビからヨハン・シュトラウスの「春の声」(ソプラノ付)が聞こえてきた.こちらもいいね.



0 件のコメント:

コメントを投稿

言葉が世界を単純化することの副作用

 人間がこれだけの文明を持つに至った理由のひとつは「言葉」を用いることであることは間違いないと思う。「言葉」があれば正確なコミュニケーションができるし、それを表す文字があれば知識を記録として残すことも可能である。また言葉を使えば現実世界には存在しない抽象的な概念(たとえば「民主主...