2019年1月18日金曜日

ブギーポップは口笛を吹かない

「ブギーポップは笑わない」がまたアニメ化されている.私は20年ほど前にこのラノベに出会って以来ずっとブギーポップファンで(この「ブギーポップ」がラノベというジャンルの嚆矢だと思っているけど),このブログでも10年ほど前(!)にこの小説について書いているほどなのだ.

私の記憶によれば(というかWikipediaで調べればわかるけど),この小説はこれまでに実写の映画(吉野紗香!主演)と2度ほどアニメ化されているはずである.このアニメがたいへん雰囲気のあるもので,小説とは異なるストーリーであったけど,非常にクラい,不気味な(ブギーな)作品で魅力的だった.私は救いようのないクラさをもつアニメが好きだから,笑わない主人公がビターエンドに導くこのシリーズがたいへんお気に入りだった.

そして今年(いろいろあって昨年から今年に延期されていた),またアニメ化されている.ストーリーは小説にだいたい沿っていて,話の進め方も小説同様細切れだったりして驚いたけど,一体どれだけの人がこの展開についていけるのだろうかと疑問にも思う.小説を読んでいないと理解できないのではないかと思う.人気が出ないことを心配してしまう.

原作との違いも面白い.小説の挿絵のキャラクターデザインの人が怒っていたけれど,まず制服がセーラー服からブレザーになっている.これは好みが分かれるところ.

そしてなにより私が驚いたのは,ブギーポップが口笛を吹かないことである.原作では,彼が現れるとき彼の吹く少しぎこちない(?)口笛が聞こえてくるはずなのである.その曲はワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガーの前奏曲」.あの大仰な旋律を物悲しそうな口笛で吹くのである.もちろん小説の紙面からは聞こえてこないけれど,なんとも想像力をかきたてるシーンじゃないだろうかと思う.その曲が聞こえてくると黒マントに身を包んだ「彼」が現れるのだ.なんて素敵な設定なのだろう.でも,それがこの新しいアニメにはない.「彼」はいつのまにか現れていた.うーん,ちょっと寂しい.

アニメはまだ3話までしか放映されていないので,これから口笛が聞こえてくるシーンがあるのかもしれない.登場人物たちの顔のデザインもいくぶん現代的で明るくなっているので,もっともっと設定とストーリーで展開を暗くしていって欲しい.なんたって「彼」は「不気味な泡」なのだから.

#2作目のブギーポップのアニメは,もうどうしようもなくクラいストーリーだったけど,当時まだマイナーだったスガシカオの歌がOPで流れていて,たいへん印象的だった

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