2020年8月21日金曜日

文字は人を表す ~ 山本五十六記念館 ~

 文字は人を表す,という言葉がある。だから私は手書きの文字を他人に見せるのはちょっと恥ずかしく思っているのだけれど,最近,「あぁ,やっぱり文字はその人を表すのだな」と思った経験をした。それは,新潟長岡が生んだ偉人の一人,山本五十六の記念館を訪れた際のことである。

新潟長岡に移ってきて2年め。いつかいつか「山本五十六記念館」を訪れたいと思っていたのだけれど,今年の新型コロナウィルス禍によって休館が続いていたため,なかなかその機会に恵まれなかった。そしてようやくこの夏の休みに入館することができたのである。

山本五十六記念館

訪れた山本五十六記念館は本当に小さな記念館で,展示室は一部屋しかない。しかしその真ん中には,彼が搭乗して撃ち落とされた攻撃機の左翼の残骸と,彼が座してその最期を迎えたと思われる座席が展示されている。その存在の重さが部屋の空気を変えている。

そして,その周りには彼直筆の手紙や書画が飾られている。私は文字のうまさなどは全然わからないのだけれど(私は書道4級),山本五十六の書いた文字にはその人柄を感じる。たぶん「山本五十六という先入観があるからだ」,という指摘ももっともだけれど,それでもその文字をみると,のびやかな性格と知性を感じることには間違いないと思う。

そして手紙の内容などが,本当に家族思いで心細やかなのである。彼の軍略家としての資質についてはいろいろ議論されているようだけれど,彼が人格者であったということを否定する意見は本当に少ないようだ。本当にそうだったのだろうなぁ,と彼の残した手紙,書,そして数々のエピソードを見聞きすると思わずにはいられない。

この記念館を見学して,私の心も少しだけ変わったような気がする。軍人たる誇りを,そして長岡人としての誇りを持っていた人がたしかにいたことを身近に感じることができたのである。

しかし,この記念館を出てきて思ったのは,一兵卒には絶対なりたくないなぁということである。軍のエリートの死亡率は本当に低いが,兵卒は彼らエリートの判断ミス,エゴによってゴミクズのように死んでいる。そのことをあらためて考えてつらくなる。


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