まず,文字が幼稚になってきている.もちろん以前から文字が汚い答案というものはあった.しかし,書かれている内容はしっかりしているし,なによりも文字に主張があったような気がする.しかし,それがいまはどうだろう.文字からその学生の精神年齢の低さが推し量られるような答案が目に付くようになってきたのである.文字の姿の幼稚さだけではない.小学生レベルの漢字でさえもひらがなを使っている.そんな答案を読まされていると,だんだんこちらも不機嫌になってくるのである.
次に,計算ミスが多い.それも単純な四則演算である.指数関数や三角関数,無理数なのではない.通常の電卓で可能な足し算,引き算,掛算,割り算を間違っている.大学受験に向けて,散々計算ドリルでスキルを磨いてきたのではないか?それが,今ではこちらが呆れるくらいに計算ができていない.時間不足で焦っていたのならばわかる.しかし,この試験の最中,監督をしていた私の目には結構時間は余っていたように映った(そもそもそんな分量出ていないし).確かめ算くらい行えばいいのに.そう小学校で習わなかったのだろうか.
そして,常識がない.たとえば,効率を計算する問題で,平気で100%を越える値を書いてくる学生がいる.物理法則を知らないのだろうか(もちろん,ヒートポンプのような特殊なケースを問題にしているわけではない(ヒートポンプだってちゃんと計算すれば効率100%以下である.当然だけど)).回路の抵抗で,マイナスの値を算出する学生がいる.普段からそうしたセンスがないのだろうか.
点数が悪いのは,私の講義が悪いせいなのだろう.反省する.しかし,これまで紹介してきたような答案については,学生たちの学問に対する姿勢があまりにもだらけていることの表れなのではないかと思う.そして,それが年々ひどくなっているような気がする.答案用紙を,親元に送ってやりたいくらいである.一方,就職活動のエントリーシートとなると,みんな必死で綺麗に書こうとする.つまりは大学の単位はそれに比べれば価値が低いものだろう.ならば単位を取得できず卒業できないようにすればいいのだろう...
とにかく,年々この無力感は強くなっているような気がする.そして小中学校のころから子供たちがスポイルされているのではないかという懸念は,どんどん強くなっているのだ(そう思う理由はまた別の機会に)
#今回の試験で,太陽光発電の半導体において,「電子」と同様にキャリアとして働くものの名称を問題に出したら,正答の「正孔(ホール)」の代わりに「孔子」と書かれた答案が5%ほど存在した.彼らは論語でも読んでいるのか?それだったら,もっと学問に励んで欲しい...
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