2015年4月27日月曜日

兵法,武術,武道

戦争の三要素といえば,戦略,戦術,兵站である.

これを私の考えではあるけれど(というか誰でも言っていることなのだろうけれど),武道の観点から考えてみたいと思う.

まず,戦略と戦術との違いはなにかということなのだけれど,これははっきりとした線引は難しい.ただ戦略というのはどちらかというと大局的な見方寄りで,一方,戦術というのは局所的で勝つためのスキルということができるように思う.つまり,戦略は長期的に勝利を得るためのの策略であり,戦術はその戦いで勝利するための技術であるように思う.

これを武道の観点から見ると,戦術というのは武術,戦略というのは兵法といえるのではないかと思う.武術とは戦いに勝利するための技術であり,兵法とは自分あるいは自分が所属する組織が生き抜くための戦略である.また兵法というのは,一対多の戦い,あるいは複数対複数の戦いにおいて勝利するための知略を指すことが多い.兵法は戦略を練るものなのである.

次に,武術と武道の違いはなにかということになるのだけれど,これもまた区別が難しい.しかし,武術は基本的には戦闘のための技術を指すことが多いのに対し,武道という言葉はその技術に付随してある哲学ともいうべき背景を含んでいるように思われる.まぁ,そもそも武道という言葉は新しいもので,江戸時代には一般的でなかったらしいけど.また,「武術」というより「武芸」.江戸時代,「芸」といえば芸者の芸を指すのではなく,武芸者の芸を指していたという.つまり,「武」というものが,もともと思想を含めたものであって,わざわざ「道」などということを言う必要がなかったのだろう.

しかし,その「武」と「兵法」との区別も実は曖昧である.戦国時代の後,いくつかの武術の流派は存在したけれど,その流派の名前に「兵法」とつくもののあるのである.たとえば,白井亨の「天真伝兵法」とか,松山主水の「二階堂平法」とか,剣術の枠にはまらない流派といえるだろう.これらは,兵法の中に武術が含まれているというのが正しいのかもしれない.一人を相手にすることから始まり,次に多人数を相手にする技術に発展,最後には自分が所属する組織が勝利を得る知略に拡大するならば,「兵法」に辿り着くのは自然なことなのだろう.

結局,「武」の観点から簡単にいえば,「戦略,戦術」は「兵法,武術」といえるのだろう.

では,もう一つの要素である「兵站」は?
う~ん...
やはり,「兵法」とは「戦略,戦術,兵站」を考えるものであって,武術は兵法に含まれるということなのか.どうもまだすっきりしない.

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