私がずっとご指導いただいている合氣道の先生と酒席をご一緒させていただいたときの話.
2時間ほど楽しいお話をさせていただき,そろそろお開きの頃合いとなった.そこで,お店の方がシメのお茶をもってきてくれることになった.
バイトの女の子がお茶を2つお盆に載せて持ってきてくれる.先生はじっと茶碗をみつめていらっしゃった.そして,女の子が手渡してくれる指先を見つつ茶碗を受け取って女の子に質問.
「君は指の皮が厚いのかい?」
私は先生の質問の意味を理解できないまま,私も女の子から茶碗を受け取った.
「うぉっ,この茶碗,木で出来ているんですかね?」
と驚きながら,茶碗に口をつけた.
「アッつ---!」
思わず声に出してしまったほど,お茶が熱かったのである.
先生を見てみると,ニヤニヤされながら平気でお茶を飲まれている.そして一言.
「三浦君は,鞘に入っているのが真剣か竹光かもわからないのかい?」
私は笑い出してしまった.ひとつは自分の情けなさにがっかりして.
そして先生のユーモアに感激して.
そうなのだ.先生はお茶がやけどするほど熱いことを,女の子が持ってきたときから,その湯気の立ち方を見てわかっていらっしゃったのだ.だから平気で茶碗を手渡ししてくる女の子に,指は熱くないのか?とお尋ねになり,自分は気をつけて少しずつお茶を飲まれていたのだ(茶碗が木製だったので,私は気づかなかったのだ).
一方,私はそんなことには気づかず,ぐぐっとお茶を飲んで舌をやけどしてしまった.結局,私には油断があったということなのだ.反省...
しかし,先生のユーモアのあるご指摘は一体どうだろう.私にはあんな気の利いた言葉は思いもつかない.そのユーモアが素敵で私は笑いが止まらなくなってしまったのだ.
その日は,本当に楽しい気分で家路についた.今でもその時のことを思い出すとニコニコしてしまう.こうした出来事が少しずつ私というものを作っていくのだろう.そして,こうした素敵なエピソードを与えていただける先生に出会うことの縁の有り難さを思うのである.
2015年4月26日日曜日
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