2022年7月30日土曜日

心霊番組について

 私は心霊番組が好きである。オカルト全般が好きなのだけれど,中でも心霊に関わる番組,たとえば心霊写真とか,心霊スポットとか,そして心霊体験とか。一方で,「ほんとにあった怖い話」的な番組は脚色が強すぎてあまり興味を惹かれない。演出で怖さが半減してしまうことがしばしばだから。

しかし,最近めっきり心霊番組が減ってしまった。たいへん残念である。夏休みになるとみることができた「あなたの知らない世界」が懐かしい(新倉イワオさんも懐かしい!)たぶんテレビのコンプライアンスの問題なのだろう。つまらない。私達の受け入れの度量が小さくなっているような気がする。

では,私は心霊現象を信じるかと尋ねられると,それには「信じる」と答えたい。

ただし,物理的に存在するかどうかはわからない。たぶん普通に考えれば物理的にはそうした現象は存在しない。しかし,その人が経験したことは,その人にとってみれば事実であり,そうした体験がその人の心理・精神状態に影響を与えるということは間違いなく存在する。つまりは,物理的に存在する事象であることよりも,その人の経験であることのほうが重要なのだ。

幽霊が存在するかどうかよりも,たとえ幻視・幻聴であったとしてもその人が幽霊を見たという体験が大切である。幽霊を見たという経験は,下手をするとその人の価値観が変わってしまうかもしれない大きな体験になるだろう。それが幻や錯覚であったとしても。

私が思う心霊現象とは,このように幻視・幻聴・錯覚などであっても,それをその人が「幽霊がいた!」と認識し,それによって影響を受けることを指す。人がそれを「幽霊」であると思うのは,その人の文化的背景,価値観,社会状況などの先行情報が影響していると思われる。たとえば,墓地とか,心霊スポットでは幽霊が出る,という予めインプットされた情報によって,錯覚を幽霊と認識しやすくなる。「白い服を着た長い髪の女の幽霊が...」などと情報が詳しかったのであれば,(実際に見ていなくとも)そのように認識する可能性が大きくなることだろう。

要は物理的な事実がどうであれ,その人が経験した事象すなわち「物語」によって人の考えは影響を受ける。そして書物で読む「物語」よりも,実際に自分の五感を通して感じられた(と思った)物語(それは「体験」なわけだけど)の方がよりリアリティがあり,より影響力が大きくなるのだろうと思われる。

だから,私は心霊スポットなどには行かない。そこでもしなにか起こったら私の精神が影響を受ける可能性が高いし,そもそもそうした場所はそうした経験をしやすいから「心霊スポット」などと呼ばれているわけなのだし。そんな危険を犯すことはしたくない。私の心は弱くて影響を受けやすいことは重々承知しているのだ。

心霊番組は,自分がそのような体験をしたら影響を受けるだろうなぁ,と想像するから見ていて面白いのだ。また,自分の不可解なことを不可解であるまま受け入れる心の余裕も確認できる。昔から怪談はあるわけなのだから,もっとオープンに心霊番組も楽しんだらいいのに,と思う。正直,占い番組よりもずっとマシだと思っているのだけれど。

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