先日,午後7時過ぎに高速道路を走っていた。日没時間も過ぎてあたりはすっかり灰青色になっていて,建物や標識はみな影として見えるくらいの明るさだった。
その高速道路はその地域の市街地を高架で突っ切るように走っており,道路に並行して電線が引かれていた。当然その架線は電柱によって支持されていて,高架の道路から見るとちょうど道路脇にさまざまな「十字架」あるいは柱を組み合わせた「標」が並べられているようだった。
私は車で走りながら,これらはまるで墓標が並んでいるように見えることに気づいた。灰青色を背景に道路に並行してどこまでも続く様々な形の十字架の影。「シン・エヴァンゲリオン」のイメージ図に出てきそうな墓標の連なり。そんなことを思い浮かべながら一定速で高速を走っていた。
「庵野秀明展」でも再認識したのだけれど,庵野秀明は電柱にかなり愛着を持っているようだ。そう認識しているだけで理由については深く思わなかったのだけれど,このたび電柱が墓標に思える風景を見て,これがその理由なのかもしれないと思った。
その風景は不吉には思わなかったけれど,少し現実の世界から離れたもののようにも思えた。そんなことを考えながら車を走らせていた。
庵野秀明展で展示されていた電柱と鉄塔のモデル |
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