2012年4月12日木曜日

イザイの無伴奏バイオリン・ソナタを弾いてみたい

私はほとんど楽器を演奏することはできないのだけれど(リコーダを音楽の授業でやったくらい),もしもどれかの楽器を練習する,となったら,バイオリンはその有力候補である.すっくと舞台の上に立ち,おもむろにバイオリンをアゴに挟んで弾き始める.なんてかっこいいのだろう!

シャーロック・ホームズはバイオリンが得意なのをご存じだろうか?彼はプロ並みの腕前で,物思いにふけるとき,独りバイオリンを奏でたりするのである.最近のシャーロック・ホームズの映画(ロバート・ダウニー・Jr主演のもの)でも,彼の部屋にバイオリンが置いてあった.無造作に手に取ったりしていたけれど,確か彼のバイオリンはストラディバリウスだったのではないだろうか.まぁ,それを無頓着に取り扱うというのが,ホームズらしいといえばらしいのだけれど.とにかくバイオリンは「できる人」が演奏する,というイメージがあり,憧れてしまう.

私がもしもバイオリンが思い通りに弾けるようになったら,演奏してみたい曲というのがある.まずは,

J.S. バッハ「無伴奏バイオリン ソナタ・パルティータ」

これはやっぱり外せない.あの有名なシャコンヌが含まれるパルティータ第2番をはじめ,名曲揃いの組曲である.あぁ,これが弾けたら天国に行けるだろう,と思わずにはいられない作品である.

そして,次に弾いてみたいのが

E.A. イザイ「無伴奏バイオリンソナタ」

の6曲ある.こちらの"無伴奏"はあまり知られていないのだけれど,バッハの"無伴奏"のアバンギャルド風といった具合になっていて,相当に影響を受けている.例えば,第2番を聴くとわかるのだけれど,バッハのパルティータ3番の旋律と「怒りの日」の旋律を相混ぜた作品となっていて,たいへんに面白い.この作品のタイトルが"Obsession"というのだから,幸せでありながら終末思想に取り憑かれているということなのだろうか.それにしても,バッハの"無伴奏"というのは,作曲家にとってどれだけ高くそびえたつ作品なのか,と思わずにはいられない.超える作品などそうそう書けないよなぁ...

その他,ピアノ付ソナタであれば,フランクやブラームスなどの作品を弾いてみたいと思う.ただ,私が超絶技巧を会得し,どんな作品もミス無く弾けるようになったとしても(そんなことはありえないのだけれど),奏でた音楽が薄っぺらで,人を感動させるのになにかが足りない,そんな状況だったらたぶん絶望するだろうな,と思ってしまう.人並み外れた訓練をしても,その演奏で人を感動させることができないなんて.技術の才と音楽の才は両立しないこともありうるのだろう.そういった面で創造主は残酷である.

そう考えると,はてさてロボットの演奏家で人を感動させることができるのはいつのことだろうか.

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