2012年4月25日水曜日

フィリピン武術「カリ」が流行?

更新の時間がとれず,少し間が空いてしまいました.
今日は,簡単,短く,お気楽な話題で.

映画「シャーロック・ホームズ」では,ホームズが詠春拳の遣い手になっていたけれど,最近の武道の流行はどうも「カリ」らしい.一昔前であれば,主人公が使うのは「カラテ」だったような気がするけれど,その後「カンフー」が全盛期となり,ハリウッド映画の主人公はだいたいカラテかカンフーか良く分からない技術を使って敵と戦うことが多くなっていたように思う.

特殊なところでは,セガールのように合氣道を使うとか,ショー・コスギのように忍術を使うとか,はたまたジェニファー・ロペスが主演していた映画では彼女が確かクラヴ・マガを使うとか,見た目の新しさを追うために,時にマイナーな武術を使うこともある(あるいはリアリティを離れて,まったく新しい武術を使うこともある."Gun kata"とか,シナンジュとか).

しかし,最近はフィリピン武術の「カリ」の戦闘シーンを見ることが多いような気がする.私が印象的に記憶しているのは,「ボーン・シリーズ」で主人公のマット・デーモンが新聞紙か雑誌を丸めてそれを武器のようにして戦うシーンである.あれは「カリ」ではないかと思う.いや,「エスクリマ」と呼ぶべきか.「カリ」を使うシーンを映画でみたのは,ブルース・リーの「死亡遊戯」でダン・イノサントとの戦闘シーン以来だったと思う.いや,「燃えよドラゴン」の中でも使用されていたか...細い棒(オリシ)を使用して高速に回転させることによって相手を打撃するように誘導し,致命傷を負わせる.または,ナイフを用いる技術もある.

以前に,BBCのテレビで"Mind Body & Kick Ass Moves"という,たいへん面白い世界の武術紀行番組があったのだけれど,そこでも「ダガ」というナイフの技術や,「オリシ」と呼ばれる棒の技術が紹介されていた.詠春拳の練習法のチーサオに共通するような感覚を頼りに,攻撃と防御を繰り返す稽古が特徴的で,ブルース・リーが惹かれたのもわかるような気がする.

また,「SP」という映画で,主演の岡田准一さんが使用していたのもカリらしい.彼が通っていた(いる?)道場は,ブルース・リーのジークンドーの流れを汲む師範のもので,主宰はダン・イノサント派の中村頼永氏だったようである.Youtubeなどにもその技法の動画がUpされているので見ていただければわかるのだが,殺傷を目的としたかなり殺伐とした技術も多いようである(まぁ,武術なので仕方ないのだけれど).非常に展開が早い技術なので見栄えがして映画向きなのかもしれない.私にはとても習得できない武術の一つだと思われるけれど...

映画の世界でも武術の流行があるのだと,最近つくづく思う.カリの次にくる武術は何なのか?私には全くわからない(誰が現在のカリの流行を予想し得ただろうか?).ただ,いまさら「ダーティファイター」のイーストウッドのように,拳を固めて殴り合うようなストリートファイトの時代にはもう戻れないことだけは確かだと思うけれど.

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