「俺の名前は,濱マイク,本名だ。俺は俺の生まれ育ったこの街、横浜・黄金町で私立探偵をやっている。なんか困った事があったらいつでも来なよ」
これは映画版のマイクの決まりゼリフ。TV版は横浜黄金町とはされていないようで,「黄金町」まわりのセリフは省かれている。濱マイクの設定はTV版の各エピソードで共通してそれなりに守られているようだけれど,各話は別々の人が監督しているので,ホラーっぽかったり,SFっぽかったり,そしてハードボイルドぽかったり,そのテイストは本当にバラバラだった。
(ちなみに映画版で探偵事務所があった横浜黄金町の横浜日劇は実在していたけれど,今は取り壊されてもうない。当時(大学時代),研究室の女子学生がわざわざ日劇に行ってきたと話していたのを覚えている。今でいう聖地巡礼?)
どのエピソードも語りたいことがあるけれど,少しだけ紹介すると。。。
私がまず好きなのは第2話の「歌姫」。歌姫役はUAが演じている。結局よくわからないし,終わり方も中途で,逆にそれが印象深い。第3話の「どこまでも遠くへ」も武田真治が女を騙すクズな男を演じていていい感じ。岸田今日子演じるサリー(メリーさん?)もいいし,ピエール瀧も一瞬出ている。切ないのは,第4話の「サクラサクヒ」。青山真治監督の作品で,岸部一徳と南果歩がすごくいい演技をしている。また同じく切ないのはSFチックな第8話「時よとまれ、君は美しい」。荒唐無稽な設定なのだけれど,幼なじみとの初恋も絡んで苦い青春が描かれている。石井聰亙監督。ハードボイルドなのが第10話「1分間700円」。柄本明と浅野忠信の演技がこちらの胸を苦しくさせる。そして最終話「ビターズエンド」。SIONの染まっていない演技が素晴らしい。
書いてみるととまらない。監督も,情報屋の小泉今日子のエピソードとなる第7話「私生活」では岩松了で,本人もホテルの従業員として出演している。そういえば,青山真治監督の第6話「名前のない森」では,樋口真嗣が連続殺傷事件を起こす怪しい人として出演している。最終話の監督は利重剛だし,そもそも金貸し役で出演している山本政志も監督業もしている。とにかくその時代のクリエイティブな人たちが総力を上げて作ったシリーズなのだ。
出演している役者も今見るとみんな若い。中島美嘉,市川実日子,井川遥,阿部サダヲ,松田美由紀,村上淳(そういえばUAと結婚したんだっけ),松岡俊介という主要メンバーだけでなく,ちょい役で,香川照之,窪塚洋介,瑛太,津田寛治,菊地凛子,田中哲司,北村有起哉,田中要次,眞島秀和,桐谷健太など,思いつくだけで現在活躍している俳優がゴロゴロと出演している。若かりし頃の彼らがどこに出ているかを見つけるだけでも楽しい。
今,TVシリーズ(2002年)を見ると,あの頃からずいぶんと時間が経っていることを,あらためて思い知らされる。出ている俳優たちもみな年をとった。そして私も当然年をとった。あのころ何を思っていたのかは,もう思い出せない。
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