2019年11月19日火曜日

映画「ドクタースリープ」の予告を見て奈良ホテルを思い出す

クラシカルなホテルというのは独特の雰囲気がある.古いのだけれど,モダンな感じがする.そして,そこに泊まることは,特別なことなのだと思わせてくれる.陳腐な言い方だけれど,日常生活とは切り離された別の空間にいることを実感させてくれる.その異世界トリップ感がクラシカルなホテルに惹かれる魅力なのだろう.

キューブリックの「シャイニング」という映画も山里離れた豪勢なホテルが舞台である.狂気の事件が続く美しいホテルがもつ完璧な対称性が,そこが異世界であることを感じさせてくれる.あまりにも人工的な世界は私達にとって異質な世界であり,恐怖さえ感じさせてくれる.キューブリックの撮る画面の構図は思わず見とれてしまうくらい美しい.そしてそのために恐ろしさも感じる.





写真は,奈良ホテル(実は泊まったわけではなかったのだけれど).
和洋が一番いい割合で折衷されている.こうしたところに美しさを感じるのは日本人だけなのだろうか.木格子の天井と赤絨毯の廊下.ギボシのついた階段の手摺とソファセット.絶妙なブレンドになっている.

奈良ホテルはヘレン・ケラーやチャップリンも宿泊したという由緒あるホテル.アインシュタインが弾いたというピアノも置いてあった.そうした物語がホテルの魅力を増している.結局のところ,クラシカルなホテルは長い歴史の中でそうした物語を数多く育んできたからこそ特別な場所になっているのだろう.そしてだからこそ映画の舞台にふさわしくなるのだろう.

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