2019年12月2日月曜日

世界最初の原子炉シカゴパイルが臨界に達した日

今から77年前の今日,1942年12月2日に,シカゴ大学において人類史上科学技術の大きな一歩となった実験が行われている.

歴史上初めて原子炉CP-1,すなわちシカゴパイルが臨界に達したのである.1939年に核分裂反応が発見されてからわずか3年ちょっとの後に原子炉が製作され,臨界に達していることは非常に驚きである.そして1945年には原子力爆弾が投下されている.平和利用を目的とした原子力発電は戦後ずっと経ってからであるけれど,それでも1950年代半ばにはもう原子力発電所は稼働している.

軍事のマンハッタン計画によって莫大な資金の後押しがあったことも大きく影響しているのだろうけれど,実用化まで本当に速いペースで進められたことに本当に感心させられるとともに,当時人類が核エネルギーを初めて手にしたことの興奮が伝わってくるようである.

以前にシカゴ大学を訪れたときに,ヘンリー・ムーアの彫刻「核エネルギー」を見た.シカゴパイルの実験を記念して設置されたものである.もちろん,それは原爆という最悪な兵器の端緒にもなったもので,私も複雑な気持ちにはなったけれど,一方でやはり人類が制御可能な核エネルギーを手に入れたという記念でもある.核エネルギーをプロメテウスの火と呼ぶ人もいるけれど,これから人類が宇宙に進出するためには不可欠なエネルギーでもあり,21世紀に必要なエネルギーであることは間違いないと私は思う(原子力発電所が最良の適用先であるかどうかはわからないけど).

一方,核融合炉はいまだ定常運転できるレベルに達していない.核融合反応が発見された1920年代ころからすでに100年が経とうとしているけれど,核融合炉が実現するにはあと50年はかかるだろう.核融合で動くガンダムやアトムも,そしてバック・トゥー・ザ・フューチャーのデロリアンも当分実現できそうにないのが悔しい.



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