今日は気づけば12月14日.忠臣蔵,赤穂浪士が吉良邸に討ち入った日である.
私は時代劇が大好きだけれど,若い頃はどうしても忠臣蔵を好きになれなかった.どうも辛気臭い話が多くて,剣豪が活躍する話があまりないからだったかもしれない.でもこの年齢になると忠臣蔵の講談が心に染み入る.本当に胸にグッとくるようになった.自分もトシだなぁ,と思わずにはいられない.
忠臣蔵といえば講談で,その数は300席程度は優にあるといわれる(講談師「冬は義士,夏はおばけでメシを食い」といわれるくらいだし).当然,そのすべてを聞いたわけではないのだけれど,私が好きなエピソードのひとつは「大石東下り」である.「赤垣源蔵 徳利の別れ」とか「天野屋利兵衛」とか,いずれも思わず胸が熱くなるような話なのだけれど,この「東下り」は,武士たるものはこうありたい,男たるものはこうありたい,と思わせる話なのである.
このエピソードの内容は,まぁ言ってみれば忠臣蔵における「勧進帳」というべきもので,「垣見五郎兵衛」を騙った大石内蔵助のもとに本物の垣見五郎兵衛がやってきて,絶体絶命になるのだけれど,垣見も人物で,大石の事情を見抜き自分が偽物だと告げて去っていくのである.この際,垣見であることを証明するはずの書面を大石が垣見に見せるのだけれど,それは当然白紙なのである.その後,この大石と垣見が見つめ合い,腹のさぐりあいのシーンが映画やドラマでの見どころになるのだけれど,これがたまらない.しかし,ここでは両者が無言で腹芸を見せるわけなので,この無言の時間に耐えうる役者の器量が必要になる.そこで問いたいのが,今,それができる役者はどこかにいるのだろうかということだ.それが今,忠臣蔵が映像化されない理由なのだろうと私は思っている.
ある講談師の方が「忠臣蔵のテーマは「別れ」である」と喝破されていたそうだけれど(神田松之丞さんの話されていた),この「東下り」は「別れ」がテーマではない.武士と武士,男と男の腹芸である.こんなファンタジーに涙する.私も日本人なのかな,とも思う.若い頃の私のように忠臣蔵を食わず嫌いの人には,ぜひ「東下り」をおすすめしたい.こんな大人になりたいと思うこと間違いない.
2019年12月14日土曜日
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