2021年6月25日金曜日

さんかく窓の外側は夜(2)呪いのルール

 「さんかく窓の外側は夜」という映画の話の続き。

この映画の中では,平手友梨奈が操る「呪い」は,オカルトを信じない人には効かないというルールになっている。そのため,オカルトを全く信じない滝藤賢一演ずる刑事には,平手の呪いが届かないというのが面白い。そういえば滝藤賢一は「残穢」というホラー映画でも,オカルトを信じない小説家(主人公のミステリー作家の夫)を演じていたりする。現実主義者が似合う役者なのだろう。

実際に物理的な「呪い」があるのかないのかわからないけれど,心理的に影響を与える「呪い」というのは確かに存在すると思う。思わせぶりな言葉や現象が続けば,信じやすい人は何らかの影響を感じるだろうし,暗示的な効果もあるだろう。その道具として呪い人形や呪符などがあればなおさらである。人のむきだしの悪意を感じた時に,よい気持ちになる人は少ないだろう。

ただ上記のようなものが呪いというものだというのであるならば,呪われているということをその人が認識しなければその影響を受けることがないように思われる(あくまでも人の呪いが物理的な影響を及ぼさないという前提で)。そして,元来まったくそうしたものを信じない人であるならば,「誰かに呪われている」と認識したとしてもその影響を受けることはないだろう。たぶんそれがこの映画のルールになっている。

「言霊」も基本的には同じルールで働くのだと思う。しかし,言っている本人が信じる,信じないを別にして言葉は無意識に働きかけてくる。言葉が善であろうが悪であろうが心は無条件にそれを受け入れてしまうのだ。それは言葉で思考する人間の業である。自分は大丈夫だと思っていても確実に言葉は心と身体に影響を与えてしまう。だから言霊なのだ。他人はともかく自分には確実に影響を与える。私たちはもっともっと使用する言葉に気をつけなければいけない。

(面白いテーマなので,私の備忘録的に趣味で記事書いてます)

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