2021年8月8日日曜日

民俗学者になりたかった

 今ではこんな職業に就いてしまっているけれど,私には高校・大学時代と心惹かれる職業があった。それは,「民俗学者」。柳田国男や折口信夫みたいに,フィールドワークをして各地の民話を収集することが夢だった。

日本のあちらこちらの地方をまわり,おじいさん,おばあさんから昔話(民話)を聞く。それを生業として生きていけたらどんなに幸せだったかと今でも思う。現実には,それは大変難しいことは重々承知だけれど。

不思議な話というのは,これまで村々に伝わる昔話,伝説が主であったけれども,現代においては都市伝説なんてものもフォークロアに含まれるようになって,ますます興味深い状況になっている。その伝説が成り立つために必要な背景,事件,人間の行動,そしてそれを支えるテクノロジー(SNSなど)などを考察すると,本当に面白い。特に私はオカルトが好きなので,実話怪談などが大好物である。

私が好きな漫画のひとつに「妖怪ハンター シリーズ」(諸星大二郎)がある。主人公は別に特別な能力をもつヒーローではなくて,民俗学者(学会からキワモノ扱いされているが)稗田礼二郎(と,最近ではその教え子)で,各地の不思議な現象に巻き込まれていく話である。ちょくちょく民俗学的な話も盛り込まれていて,マニアにはたまらない作品になっている(二作映画化されている。主演はそれぞれ沢田研二と阿部寛。いつかその話も…)

民俗学の漫画といえば,星野之宣の「宗像教授シリーズ」も忘れてはいけない。やはり民俗学者である宗像教授が世界のあちこちの超自然的な現象に巻き込まれていくストーリーで,妖怪ハンターシリーズと双璧をなしている(私的にですが)。

そしてここからが本題。「准教授・高槻彰良の推察」というTVドラマが始まった。主人公 高槻は民俗学の准教授。伊野尾慧さんが演じている(伊野尾さんもとうとう主役を演じるまでになったか,と感慨)。怪異現象を推理して解決していくというミステリー(ホラーではない)。人のウソがわかってしまうもうひとりの主人公の学生も素敵な設定だ(人が嘘をつくと,声がひずんで聞こえてしまうという能力。これはありうる,という話もいつか書きたい)。一回目のテーマは「コックリさん」。こんなところは,妖怪博士と呼ばれた井上円了を思い出す(ちなみに井上は長岡出身です)。もっとグレーな感じでドラマが進行していくことを望む。。。

とにかく,古来の伝承というのは夢がある。人間の無意識が反映されている。昔から神話が好きなのも,こうした理由からなのだろう。ドロドロとした人間の欲望が反映されるのが伝説なのではないかと思っている。

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