2007年2月14日水曜日

大学の顧客とは誰なのか?

大学が独立法人化された。
法人として大学は誰を顧客として考えるのか。
これはちょっと単純なようでいて難しい問題だ。

学生の皆さんは,
授業料を払っているのだから自分たちだろう,
というだろう。
しかし,それはとんでもない間違いである。

なんといっても大学は「社会」が顧客である
学生の皆さんを教育し,
もちろん共に研究し,
そして社会に送り出す。
それが大学が顧客である社会に果たすべき役割である。

授業料など,大学の収入からみれば1/7程度か(ちょっと正確さに欠ける)。
工学部にいたっては,各先生方が別途研究費を涙ぐましい努力の上,
外部から調達しているから,学生の皆さんからの収入は,
全体の1/10にも満たないかもしれない。

すなわち,学生の皆さんは,
いわば10000円の寿司のコースを
たった1000円でありがたくいただいている,オイシイ立場なのだ。

大学の施設を自由に使用できる,この特権を考えてみて欲しい。
他で同等のサービスを得ようとしたら,一体いくら必要になるだろうか。
とても皆さんの授業料だけでは享受できないに違いない。

では,残りの費用は誰が負担しているのだろうか?
名目は種々あれども,結局は税金である。
国民の血税が,学生の教育につぎ込まれているのだ。
教育は国の礎,との言葉のもと,
税金が教育に使用されることがこの国では許されている。

"授業料払っているんだから,卒業して当然だ"などと言う学生も存在する。
こうした学生は,血税を使って教育を受けていることを自覚して欲しいと思う。

私は大学に赴任したとき,
自分の税金がこのような学生たちに使われているのかと知り,
本当に怒りが込み上げ,がっかりしたものである。

学生たちにも言い分は沢山あるだろう。
もちろん,私たち教員にだって問題はある。
しかし,世に働いて税金を払っている人たちが
今の大学を見たらやはり怒る人が多いのではないか。
たぶん親が見ても怒るのではないか。

真面目な学生たちも多いことも承知している。
しかし,世の中は大学を厳しく評価する。
なぜなら社会こそが大学の顧客だからである。
そういう事実を学生たちには知っておいて欲しいと思う。

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