「鍵」というのは昔から何かを暗示することが多いモノである。「鍵をかける」は,もちろん実際の施錠を意味することもあるけれど,誰の目にも触れることができない「秘密にする」という意味もある。「鍵をあける」は,開錠のほかに人の心の扉を開くという意味もあったりする(矢野顕子の「ひとつだけ」の歌詞とか)。さらに,「鍵(キー)」自身にも物事を解決するヒントという意味がある。映画「マトリックス リローデッド」においてもいくつもの世界へのドアのカギを開けることができるキーメーカーという人物が登場するのはわかりやすい例だ。こんな風に「鍵」というものは,私たちの生活に暗示的な意味を持って役立っている。
今回はそんな哲学的な話ではなくて,鍵を回す方向の話。私が関西に住んでいたころ,鍵を開ける場合は左回し(反時計回り)に鍵を回し,施錠するときは右回しに回していた。水道の蛇口やバルブを開くときには左回しにするので,鍵を開けるときも当然その方向だと思っていた。
しかし,長岡市に住んでから,私の住宅のドアも大学の居室のドアも施錠のときに左回しする鍵になった。最初,ひどく驚いたし,長岡に住んで6年になるけれどいまだに慣れていない。こんな左右が逆な世界なんてある?と思ったものである。
鍵を回す方向が逆だなんて驚いたのは長岡に来てからである。それまで住んでいた新潟市,東京,茨城,大阪,兵庫では不自然に感じたことは一度もなかったから,鍵は左回しで開錠していたのだろう。長岡だけが左右逆な世界なのだろうか,と疑問に思っていた。
そしてネットで調べてみた。結局のところ,どうも鍵を回す方向は統一されていないらしい。ただ調べてみた感覚だと,私が昔から慣れ親しんでいる開錠時に左回し(反時計回り)の方が多いような気がする。ネット上でもその方向に統一してほしいとの声があちらこちらに見られた。
そういえば,私の実家の洗面台も現在のものになる前は,蛇口レバーを回す向きが逆だったことを思い出した。蛇口やバルブは統一されているのに,なぜこうした不統一があるのだろうかと不思議に思う。またメーカとしてもなぜ両方作り続けているのか不思議に思う。
ただこの鍵の話であらためて思ったのは,常識だと思うことが異なっている世界もあるということ。頭はいつも柔らかくしなければ。