2007年2月21日水曜日

卒業研究という通過儀礼

現在,研究室の学部4年生,修士2年生の学生たちは,
論文の完成に向けて最後の追い込みをしている。

たぶん,そのうちの多くの学生が
この数週間まともに寝ていないのではないか?
彼らの鬼気迫る現在の状況を見ていると,
ずいぶんかわいそうだなぁ,とも思えてくる。

しかし,工学系の卒業者は誰もこうした経験をするのではないか?
企業の方々にお会いして,この話題が出ると,
みなさん揃って「私も最後は徹夜だった」などという話をされる。
こうした経験を積んでみな社会に出て行くのである。

それでは,私はどうだったか?
私も多分にもれず博士論文をまとめる最後のときは,
三日間ほとんど寝なかった。
不眠剤と栄養ドリンクを飲んで,
なんとか論文を仕上げようと努力したものである。
博士論文の体裁をなんとか整え,
指導教官のS先生に提出したあとには
ずいぶんホッとしたことを覚えている。

S先生にはそれから映画に誘われて,
新宿(だったと思う)の映画館に後輩ひとりと一緒に
連れて行ってもらったことも良い思い出だ。
本当に寝ていなかったので,ずいぶんご遠慮したのだけれど,
結局連れられて「スピード」を観にいったのだった。
しかし,映画館では誰よりも一番早くS先生が居眠りを始められていて,
ちょっと笑ってしまったことを今でも覚えている。

大学の研究はまだいい。
社会に出てからは,自分の責任だけで仕事ができなくなる。
プロジェクトの中で働くということは,
グループの責任を果たさなければならなくなる。
その重圧はこの卒業研究の比ではない。
その覚悟は必要だ。

そのためのステップとしては,
卒業研究というのはちょうどよいのかもしれない。
そして,今頑張っている学生の皆さんも,
数年後には後輩に向かって,
「私も最後は...」などと言っているのに違いないのである。

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