2009年2月13日金曜日

過去問をくださいと言われたこと

大学は期末試験シーズン真っ盛りである.
とりあえず私が担当している講義の試験は
(レポート課題を除いて)全て終了したので,
少しほっとしている.
あとは採点をして成績をつけるだけである.
ただ今の時期は卒業論文,修士論文の
追い込みと重なってモーレツに忙しい.
まぁ,とにかくやるしかないのだけれど.

さて,先日ひとりの学生が私を訪ねてきた.
試験シーズンということで勉強でわからないところを
質問しに来たのかと思えばさにあらず.

「先生,過去問をください」 と一言.

もう私は呆れて笑うしかなかった.
どうなっているのだろう.
過去問は,講義の教員が用意してあげるものなのだろうか?

そもそも過去問なんて,単位を取るためのひとつの方便である.
だから当然,教員が過去問を与えて,
過去の出題傾向はこうだから,勉強しておくように,
などというはずもない.
もしも,過去に出題された問題を
勉強するポイントとして強調するならば,
講義の中で,演習問題として受講者全員に
解説するものである.
過去問などは,学生がこっそりと準備するものなのだ.
少なくとも私が学生の時はそうだった.

それがいつのまにか堂々と教員に
過去問をくれというようになってしまったらしい.
なにかが変わってしまっている.
教員が学生に対し,そうしたサービスをすることが
当たり前だと思うような風潮が広がっている.

確かに現在の学生は,小学校から
(いや,もしかすると幼稚園,保育園から),
目の前にすべて必要なものを与えられて,
単にそれを行えばよいように育てられてきたのかもしれない.
誰かがこれを「マクドナルド世代」と呼んでいた.
つまり,「~はいかがですか」,「~はいかがですか」と
サービスを提供されるのに慣れきってしまっていて,
それが当然だと思っている世代なのだ.

もちろん,私は断った.
学生は,非常に不満そうな顔をした.
「どこの教員が,これは過去問ですよ,といって
学生にあげるものか」と言ったら,
「そうやってもらえる先生もいます」と答えた.

教育方針の違いなのだろうか.
私にはそれは信じられないことなのだが,
とにかく私は過去問をあげることはできないと答え,
学生はしぶしぶ帰って行った.

教員は,ひとりでも多くの学生に単位を取得して欲しいと
思ってはいるけれど,それは当然講義の内容を理解した
証としてである.
現在の学生の考え方は,どうも本末転倒の人が多いように思う.
楽して単位だけを取得しようと考えている.
卒業するということが重要で,本来の目的である
学問するということはなるべく避けようとしている.

ではなんのための大学なのか.

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